食品安全マネジメントシステムの中で、今やメジャー規格になったFSSC22000。
このFSSC22000では、ISO22000では要求がない「非通知審査」が要求されています。
非通知審査で要求されている主な事項を要約すると、
・3年以内に非通知審査を実施する必要がある
・初回審査での非通知審査は不可
・組織の要求があれば更新審査を非通知審査にしてもよい
・非通知審査は、事前に通知してはならない
・審査除外日(生産の稼働が極端に下がる日、主担当者不在等)を設定することができる
・審査員がサイトに到着してから1時間以内に生産施設の審査を実施しなければならない
・認証組織が非通知審査を拒否した場合は、認証を一次停止しなければならない
・サイト外活動(例:倉庫、配送施設)があれば非通知審査期間中に審査を実施する
などが求められています。
つまり、非通知審査を行う目的は、
・国際的に信頼できる食品事業者であること
・非通知審査の受審に対応できる組織体制があること
・認証審査の時だけ、念入りに審査の準備をして、製造記録を後付けで作ることを防ぐ
といったことを保証するためにあるのです。
また、非通知審査の要求事項には、
「サイトに複数の建物がある場合、審査員はリスクに基づいて、どの建物/施設をどの順番で検査するかを決めなければならない」
旨の要求があります。
ただし、「リスク」をどのように捉えるかまでは、規格に規定されていません。
私見ですが、例えば、
・CCP、OPRP関連の記録が未記入だったのに作成されてしまう
・現場が乱雑だったのに、整理整頓されてしまう
・現場に薬品や廃棄物が放置されていたが、管理された状態に修正されてしまう
・・・
といった可能性について、認証機関は、リスクの優先順位をつけておき、高い順番で工程の確認をするのが適切な審査となるでしょう。
実際、小規模な食品メーカーに非通知審査で訪問すると、「食品安全チームリーダーは、年休を取っているので、私が対応します」と社長が自ら審査対応されるケースや「先月の部門長会議の議事録を作成しなくっちゃ、と思っていたところで、まだ作成していません」など、通常の通知審査で訪問した時には、経験できない状況に直面することもあって、「普段着の組織」が見られて、ことばは適切では無いかもしれませんが、面白いです。
「非通知審査における審査のリスク」に話を戻しますが、「非通知審査の目的とリスクに対する認識」が希薄だと、通常の通知審査のように、原料受入から始まる「工程順」に審査をしてしまいがちです。
目的意図があるのなら話は違いますが、特になければ、あくまでも個人的意見ですが、この「工程順」の審査は、非通知審査では、適切ではないと思います。
意外とベテラン審査員でも、特段の目的があれば別ですが、食品メーカーにおける非通知審査で、最初に確認する工程が製品倉庫や出荷ヤードだったりします。
審査スケジュールは、FSSC22000の要求事項では、初回会議で合意することになっていますが、「審査は捜査ではない」ですが、それでも、「審査員主導でスケジュールを組織と調整するべき」です。
組織の要望ばかり聞いていては、「突然、審査員が来られて、準備不足だから現場の体制を整えようとしているのかも」と想像し、審査側が提案したスケジュールを変更する理由は、聞いた方がいいと思います。
いわずもがなですが、非通知審査の目的をしっかり理解して、認証機関は、審査手順書や審査プログラム等で、「どの順序で審査するべきか」といった方針を明確にして、計画しておくべきでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ822号より)
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