組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「メイン製品・サービスに付随する製品・サービス」について。
ISO認証機関は、認証組織について、市場(世間一般)に、
・名称、関連規準文書、認証範囲及び地理的所在地を提供しなければならない
・市場に提供する情報は、広告を含めて、正確でなければならない
といったことが要求されています。
認証範囲については、「第三者認証」という性質から、「市場に提供する製品・サービス」を的確に表現した表記を認証文書(認証書、登録証)に記載する事が求められています。
大きな組織だと、内部向けの仕事(例:社内教育部門、社内及びグループ会社向け広報誌作成部門、経理部門等)であっても、規模が大きいので、「自らの業務のアウトプット(製品)」が「製品・サービス」のように勘違いしてしまう可能性がありますが、あくまでも「認証文書に表記される製品・サービスは、対外的に提供するもの」となります。
対外的に提供する製品・サービスであっても、
1)製品・サービスを提供する上で生じる付帯的製品・サービス
2)元々付帯的に実施していた製品・サービスが、単独で、まれに生じる製品・サービス
3)新規ビジネスとして実施する製品・サービス
・・・
といったパターンがあります。
例えば、「引越しサービス」で考えてみると、1)のケースの「付帯的製品・サービス」には、「引越し元や引越し先の室内清掃」、「引越しに伴う電話、ガス、水道の解約、手続き代行」、「引越しに伴う不要家電の買取」、「引越しに伴う家電の物販」などです。
「仕事量(売上)」や組織が「付帯的な製品・サービスへの力の入れ具合」にもよると思いますが、「あくまでも、メイン製品・サービスに伴う製品・サービス」という扱いであるならば、認証表記は、「引越しおよび付帯するサービスの企画・提供」で問題ありません。
しかし、2)や3)のケースのように、「引越しサービス」の場合、例えば、「引越しを伴わない室内清掃サービス」、「引越しを伴わない家電の物販」などを引越しとは別に単独の製品・サービスとして提供する場合は、「引越しサービス」(分野番号31)に加えて、「室内清掃」(分野35)、「家電販売」(分野29)に相当する製品・サービスの認証表記が必要になります。
今の時代、「顧客ニーズを単純に提供する製品・サービス」は、減少し、大抵は、製品・サービス提供側が付加価値を付けるために提案営業をする、あるいは、発注側が、「こんなこともやってもらえないか?」とプラスαをビジネスでは要求されるケースが多いので、その部分について、
・たまたま、ついでに実施した製品・サービスレベル
・付帯する製品・サービスにも力を入れて提供しているレベル
・発展的に、単独でも製品・サービスを提供するレベル
・・・
といったことを認証機関は、しっかりと組織に聞き取りを実施して、適切な認証表記を提案し、被監査組織及び市場に情報提供するべきなのです。
少し前に、ある物流会社の経営者と話していたら、「荷主の荷物を取りに行って、お届け先に届けるだけの運送業は終わった。荷主の運搬物の特徴や性質を理解し、プラスαの付加価値をどのように提供する事ができるかが生き残り戦略です」という趣旨のお話を聞きました。
「この会社は昔ながらの運送屋だ」と決めつけて訪問すると、組織が提供する「真の」製品・サービスを的確に表記していないマネジメントシステムを世間に公表することになるので注意が必要です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ764号より)
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