2023年1月18日に、消費者庁は、キリンビバレッジに対して、景品表示法(優良誤認)に違反するとして、1915万円の課徴金を支払うよう命じたそうです。

 

各メディアの報道では、

◆景品表示法違反の対象の商品は、「トロピカーナ 100% まるごと果実感 メロンテイスト」

◆2020年6月~2022年4月に販売されたパッケージが優良誤認と判断された

◆パッケージは、「100% MELON TASTE」「厳選マスクメロン」などと記載されていた

◆この商品には、実際は、メロン果汁が2%程度しか使われていなかった

◆約98%はブドウやリンゴ、バナナの果汁で、メロン果汁は2%程度だった

・・・

といことだそうです。

 

「100%メロンテイスト」は、「100%メロン」や「100%メロン果汁」と言う表現ではないから、「ダメ」ではなさそうに感じます。

各メディアの記事をチェックしましたが、「何か優良誤認と判断されたのか」が、明確に報道されていませんが、おそらく、ポイントは、この商品の「パッケージ」の方に問題があるのです。

 

この商品を画像検索しましたが、パッケージに「メロンの断面画像(おそらくイラスト)」が使用されています。

ご承知の方も多いと思いますが、「公正取引委員会」では、「果実飲料等に関する公正競争規約」という規約を定めています。

 

この規約では、

◆各商品に含まれる果汁の割合によってどのような画像を載せてよいかが決められている

◆果実の断面やしずく、果肉のイラストや写真は、果汁100%のジュースのみ使用可

◆果汁の使用割合が5%未満及び果汁を含まないものは、果実の絵の表示は不当表示に該当

(※図案化した絵は差し支えない)

などが決められています。

 

したがって、「トロピカーナ 100% まるごと果実感 メロンテイスト」は、メロン果汁が2%にも関わらず、メロン断面のイラストをパッケージに使用していたことが、消費者庁から「景品表示法違反(優良誤認)」とされたのではないかと思います。

 

それにしても、キリンビバレッジのような大手飲料メーカーが、このような初歩的な「表示ミス」を発生させるのは、珍しい・・・というか、ちょっと信じられません。

社内には、表示内容をしっかりとチェックする部門があるはずです。

また、内部監査や外部監査(キリンビバレッジは、多くの工場で食品安全規格のFSSC22000を取得している)を受けているので、これらの監査で、通常は気づくはずです。

 

キリングループのHPでは、2023年1月18日付けのニュースとして「消費者庁からの課徴金納付命令について」と題した文書が発表され、この中では、

・消費者庁より2022年9月6日付で「景品表示法 第7条第1項」に基づく措置命令を受けた

・2023年1月18日に、「景品表示法 第8条1項」に基づく課徴金納付命令を受けた

・納付を命じられた課徴金の額は、1,915万円です。

・チェック体制を強化するとともに、再発防止に努めてまいります

などと述べられていました。


個人的には、「違反の原因」と「具体的なチェック体制の見直し内容」、「再発防止策の一例」程度は、大手メーカーに期待されている消費者の使命として、明確にして欲しいものだな、と思います。
 

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