NHKの朝ドラ「舞い上がれ!」の第75回放送が、SNSで話題になっています。

 

ネタバレになりますが、第75回では、主人公の舞が、経営が窮地に追い込まれた実家のネジ製造会社(IWAKURA)の営業に走り回り、大型の受注(薄型テレビのネジ)が取れたが、ネジの設計ができる従業員がおらず、IWAKURA社員が途方に暮れたところで、ネジの設計ができる元従業員の結城章(章にいちゃん)に、舞が連絡し、無償で章が試作品作りに協力し、IWAKURA社員が一丸となった・・・という回です。

 

この放送について、SNSでは、

「章は、義理人情に熱い男、かっこええ」

「再就職先の了承を得てからこっちにくる章兄ちゃん、まじで真面目の鑑」

「出来ないこと、やめた人に頼ってその場をしのいでも品質管理保てへんよ」

「退職しライバル会社に引き抜かれた章に頼むのは企業秘密からもあり得ない」

「辞めた人間に、無償で試作品の協力というの甘えすぎ」

・・・

といった賛否の声がたくさん上がっていました。

 

あくまでも、「朝ドラ」なので、全ての出来事を時系列では、描写できないでしょう。

また、仮に「経営危機になった会社を主人公の舞が、航空会社の内定を辞退して、ネジのことを一から勉強して、大口受注を勝ち取り、経済的理由で、同業他社に転職した元従業員の力を借りて、社員一丸となって、経営再建に立ち向かう感動ストーリー」をNHKの制作サイドや脚本家が狙っているのであれば、SNSで、連日、朝ドラが話題になるので、「大成功」でしょう。

 

ただし、このストーリーについて、もし「ドラマ」ではなく、「現実の会社」であったら、「突っ込みどころ満載」です(笑)

「第75回放送」の突っ込みどころを思いつくまま列記すると、

・大口受注ではあるが、「IWAKURA」は、発注元の「カワチ鋲螺」の下請け

・「薄型テレビ」メーカーからみれば、IWAKURAは、孫請けで、利益は限定的

・設計能力のないIWAKURAに、なぜ、カワチ鋲螺が発注したのか

・ネジ職人の笠巻さんは、なぜ、設計ができないのだろう

・舞は、自社の製造能力(従業員の力量)を把握せずに、営業しすぎ

・章は他社の人間なのに、守秘義務誓約無く、IWAKURAは、図面を章に見せている

・設計ができないのに、現社長と舞は、「営業を頑張る」って、受注しても信用を失うだけ

・・・・

 

現実社会なら、社会人経験が実質的にない主人公(舞)のビジネス常識無視の行動は、いくら創業家の娘だからといって、結果はOKだったとしても、行き当たりばったりすぎるし、許されるふるまいではありません。

また、亡くなった前社長が、設計要員が、健康不安のある前社長と章しかいない状態で、章の転職にすんなり同意したのも、家族経営からそれなりの従業員を抱える規模に成長したIWAKURAの経営者としては失格で、「男気のある社長」として褒められることではありません。

 

要は、「品質のIWAKURA」といっても、「丁寧な加工技術」だけで、「製品設計」はおろか、「工程設計能力もない」、「要員管理、人材育成などのマネジメント全般が脆弱な会社」が、IWAKURAなのです。

 

それにしても、第76回(2023.1.20放送回)は、東大出身で「一流投資家」となった前社長の息子(悠人)がIWAKURAに投資するというストーリーのようです。

悠人は、投資家ですから、普通なら、IWAKURAは「投資価値のない企業」のはずですが、どういった経緯で投資することになったのか、現社長(母親のめぐみ)と悠人の話し合いの詳細がどのように描かれているか、注目したいと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ838号より)
 

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