組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「マネジメントシステム認証審査工数」について。

 

品質、環境、労働安全衛生マネジメントシステム認証審査の審査工数に関する基準は、IAF基準文書のひとつ「IAF MD5:2019」に規定されています。

 

この基準文書では、

 

《審査工数》

 依頼組織のマネジメントシステムの完全かつ有効な審査を計画し達成するために必要な時間

 

《マネジメントシステム認証審査工数》

審査工数の一部で、初回会議から最終会議までを含む、審査活動の実施に費やす時間

 

と定義されています。

 

審査を受審する組織側の視点で捉えると、「初回会議から最終会議」の「現地審査」、つまり、

・審査チームが実施する初回会議

・現地審査中に実施する文書レビュー

・現地審査での担当者への聞き取りなどコミュニケーション

・現地審査での文書、記録、現場巡回、聞き取り等による情報の収集及び検証

・現地で審査チームが作成する審査所見

・現地で審査チームが作成する審査結論

・審査チームが実施する最終会議

が「マネジメントシステム認証審査工数」となります。

 

マネジメントシステム認証審査工数以外の審査工数の例としては、

・審査資料の事前レビュー

・審査計画書作成

・最終会議後に作成する審査報告書

などがあります。

 

なお、IAF MD5では、

「マネジメントシステム認証審査工数は、審査工数の80%未満と通常ならないことが望ましい。これは、初回、サーベイランス、及び再認証審査に適用される。」

という規定があります。

 

例えば、ある組織の審査工数が「5人日」だった場合は、「現地審査に最低4人日を割り当てて下さい」というルールです。

 

コロナ禍前は、

「組織を訪問して審査すること=現地審査=マネジメントシステム認証審査工数」

という図式が当たり前でしたが、現在では、感染拡大対策の観点から「リモート審査」が日常的になりました。

「リモート審査」は、通常、Web会議システムを利用するので、審査をする側、される側の感覚的には、「従来の現地審査がモニター越しで実施されている」という感じです。

しかし、「リモート審査」の中には、「電話主体の審査方法」も稀ですがあります。

 

リアルな建設現場などの場合は、Web会議システムがなく、電話と撮影されたスマホ画像で「リモート審査」を実施することもあるからです。

要は、「電話を主体とした聞き取り調査で審査」が方法論として良いか悪いかの議論を抜きにして「コロナ禍」ということを考えれば、このような「現地審査」はありえます。

ただ、審査側としては、機関事務所のデスクから電話調査しているので、「見た目」は、「現地訪問しない文書類や聞き取りレビュー」です。

 

この場合、この「電話を主体とした審査」について、審査計画書や審査報告書で、明確に「現地審査(の代替方法)」つまり、マネジメントシステム認証審査工数であるとしておくことが必要です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ790号より)
 

 

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