ISOマネジメントシステムの審査では、経営者へのインタビューを通じて、「組織の内部、外部の課題」についての確認があります。
ISOマネジメントシステム規格は、共通テキスト文書(附属書SL)を採用しているので、ISO9001や14001など、どのマネジメントシステムでも同様の要求事項がありますが、ISO9001を事例として挙げます。
(ISO9001:2015より引用)
4.1 組織及びその状況の理解
組織の目的及び戦略的な方向性に関連して、品質マネジメントシステムの意図した結果に影響を与える外部および内部の課題を決定する。
(引用ここまで)
ざっくりとポイントを挙げれば、
◆組織の事業目的に対する、外的な要因と社内的な要因の課題を決める
◆組織の事業を続ける上での戦略に対する、外的な要因と社内的な要因の課題を決める
◆これらの課題を考慮して、顧客満足と質の高い製品・サービスを継続して提供するために何をするか決める
ということになります。
意識するか、意識しないかは別にして、このようなことは、経営者であれば、普通は、自然と考えているでしょう。
したがって、審査ということを少しだけ意識して、まずは、頭の中を整理して、課題を箇条書き的に羅列し、外的要因と内的要因に分けておけば、問題はありません。
次に、経営者が、考えておくのは、それらの課題と利害関係者のニーズ及び期待を考慮して、「リスク及び機会を決定し、取り組みを計画実施し、成果や有効性を確認する」ことが必要です。
一般的には、年度経営計画や事業目標計画書が組織では作られていうので、ISO規格を通じて、これらの年度経営計画や事業目標計画書に、組織の内部外部の課題や利害関係者のニーズが含まれているかを遡って帰納法的に確認しておくことも必要でしょう。
経営者に聞き取りすると定番で挙げられる課題としては、
《内部の課題》
・空洞化した世代があり技術の継承が困難
・施設・設備が老朽化して品質維持、作業効率が低下している
・新人の定着率が悪い
・従業員の高齢化が進んでいる
《外部の課題》
・法律の改正により資格者の専任や製造設備の変更が必要
・技術開発によって、同業他社との競争が激化している
・原材料費が高騰している
などでしょう。
私の印象ですが、コロナ禍を通じた「課題」として「リモート会議に関する課題」を挙げる経営者も増えたように思います。
要は、リモート会議により、「メリットも増えたがデメリットも増えた」というもので、デメリットの例として、「非効率な打ち合せとなって、サービス業務が増えた」というものです。
これは、「大企業」と「中小零細企業」が取引するときに、よく中小零細企業の経営者からお聞きします。
例を挙げると、
・リモート会議により大企業側のリスケが増えた
・情報提供ばかりさせられて受注につながる会議にならない
・大企業側がしょっちゅう会議の開催を要求する
といった感じです。
対面式のリアルな会議であれば、「わざわざお越し頂いて」という感情が訪問された側にありました。
また、「これだけ情報を聞き出しておいて、発注ゼロは申し訳ないし、今後の付き合いも考えて、少額の発注をして関係を繋いでおこう」という発想も発注者側にあったように思います。
しかし、リモート会議は、開催のお手軽さからか、この感情や感覚が薄いようです。
したがって、立場が弱い側は、気づくと「情報ばかり取られている」、「打ち合せばかりさせられて無駄な時間を使わされている」という状況になっているようです。
この感覚は、携帯電話が一般的になった1990年代後半にも感じた感覚に似ています。
待ち合わせ時間の変更やリスケが平然とされるようになり、当時は「おいおい」とプチ怒りの感情が芽生えましたが、いまでは「多少の直前のスケジュール変更はよくある話」という感覚にいつの間にか毒されてしまいました。
月並みですが、いいのか、悪いのか、こうした情報ツールの発達と一般化に伴い、価値観と仕事のやり方を超越して対応していくことが必要なんでしょうね。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ783号より)
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