FSSC 22000 Version 5.1 Part 3(認証に対する要求事項)の5.2には「複数サイトにまたがる複数業務」の要求事項があります。
「5.2.1本部の業務」の要求事項を以下に引用します。
(以下、引用)
1)認証に関わる業務(調達、サプライヤの承認、品質保証など)を本部が管理している全ての場合において、スキームは、その業務を審査し、食品安全マネジメントシステムに、それらの業務に関して権限及び責任をもつ(委託された)と記載されている人に面談するように要求している。この本部審査は文書化しなければならない。
2)本部の業務が評価対象のサイトの一部でない場合、本部の業務は別個に審査しなければならない。
3)グループに所属するどのサイトも、次のようでなければならない:
a. 別の審査を受ける
b. 別の報告書を作成する
c. 別の認証
4)本部の審査は、サイトにおける審査の前に実施しなければならない。
5)その後のサイトにおける審査には、本部の定めた要求事項が、サイト固有の文書に適切に盛り込まれ、実施されていることの確認を含めなければならない。
6)サイトにおける審査報告書及び認証は、どのFSMSプロセスが本部で審査されたかを明示しなければならない。
7)全てのサイトは、本部の審査から12ヶ月以内に審査しなければならない。
8)本部は、別の証明書を受け取ることはできない。
9)本部は、次のような文言でサイト証明書に記載される。
“この審査は、(本部の名称及び場所)が管理する次のプロセスを含んでいる:(本部で審査されたFSMSプロセスを記述)”
(引用、ここまで)
食品製造業にかかわらず、日本製造業の多くは、「工場で業務が完結する」ことは、まずありませせん。
例えば、
・製品の製品開発
・製品の製造に関する工程開発
・主要材料及びサービスに関する購買先の選定と評価
などは、本社が実施し、工場では、仕様書に基づき、製造や購買の発注業務を実施する、といった役割分担になっています。
食品製造業の場合は、日本企業の場合、上記に加えて、
・食品の表示
・アレルゲン管理
・該当する法規制管理
などは、本社が責任を持つか、あるいは、工場部門を支援しているケースが多いです。
他のスキーム(QMSやEMS)であれば、本社を適用組織に加えれば、面倒な問題は無いのですが、FSSC22000の場合、マルチサイト認証は、フードカテゴリA畜産、Eケータリング、F1小売・卸売、G保管及び配送のみ許されており、カテゴリC食品製造には認められていません。
そのため、本社は、FSSC 22000 Version 5.1 Part 3 「5.2.1本部の業務」9)で規定されているように、登録証に「本社の名称、住所、FSMSプロセス」を記載することになります。
ただ、実際には、
・本社に責任部門があるが、工場の窓口部門で審査を終えている
・審査報告書に本社の役割が記述されているが、登録証に明記がされていない
といったケースは、多々あるようです。
また、工場が本社に併設されている場合は、工数上の考慮は限定的かもしれませんが、離れている場合は、工数の調整が生じ、認証費用に影響が出るので、認証機関はもちろん、組織も気になるところです。
FSSC22000の場合、審査報告書は、専用のポータルサイトにアップされ、FSSC財団からサンプリングでチェックされていますが、日本の食品メーカーの業態に明るくないと、海外の検証者では、報告書の内容を見ても、実態と審査内容の違いには、気づかないかもしれません。
したがって、認証組織の立場では、本社の扱いを認証機関がどのようにされているか、確認しておくことが必要でしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ822号より)
【好評発売中!】
『事例で学ぶコンプライアンスⅠ』
(トータルEメディア出版)
事例で学ぶコンプライアンス Ⅰ | TEM出版書店 (total-e-media.jp)
事例で学ぶコンプライアンス | 有賀正彦 |本 | 通販 | Amazon
『できるビジネスマンのマネジメント本』
(玄武書房)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)
http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html
Twitter:https://twitter.com/ariga9001