組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「FSSC22000の附属書2「審査報告書の要求事項」」について。
食品安全マネジメントシステム規格にFSSC22000があります。
ご承知の方が多いと思いますが、FSSC22000の概要として、
・Food Safety System Certification 22000の略
・Foundation FSSC22000(FSSC財団)が開発した食品安全MS規格
・GFSI(Global Food Safety Initiative)が承認した食品安全認証スキーム
・登録数は、全世界でにより、25000件を超えている
といったことが挙げられます。
また、食品産業組織の認証基準となるFSSC規格の構成としては、
1)食品安全マネジメントシステム(ISO22000)
2)前提条件プログラム(ISO/TS22002シリーズ)
3)FSSC22000追加要求事項
から成り立っています。
FSSC財団は、認証組織、認証機関、認定機関、教育機関に対するFSSC22000認証スキーム文書を作成しており、スキーム文書には、Annex(附属書)が、現在9つあります。
「附属書2」は、「認証機関が作成する審査報告書の要求事項」について規定されています。
要求事項としては、「INSTRUCTION(指示)」と審査報告書のテンプレート的な要求事項が規定されています。
「INSTRUCTION(指示)」では、例えば、
・チェックリストの要約は、十分な詳細及び簡単すぎない概要の記述
・不適合を正当化するための客観的証拠の参照
・ICT利用の場合、ICTの種類や部門・条項について審査計画書、報告書への記述
・顧客に提供する附属書には、出席簿、審査計画書、審査プログラムが含まれる
・最新のBoS決議リストを確認し、審査報告書に反映されていること
・・・
などが規定されています。
また、審査報告書のテンプレートでは、例えば、
・監査対象組織の概要
・季節的活動の概要
・審査工数
・審査実施日と場所
・審査チーム
・審査の提供(例:オンサイト審査、リモート審査)
・フードチェンサブカテゴリ
・適用する製品の範囲と除外がある場合はその内容
・要求事項の適合・不適合・非該当の明示
・要求事項が非該当の場合、非該当を正当化する事由の概要
・・・
などが規定されています。
ISOマネジメントシステム審査における認証機関への要求事項は、ISO17021-1に規定されており、審査報告書に関する要求事項とこのFSSC22000の附属書2は、整合していますが、ISO17021-1より詳細の規定です。
変な話ですが、FSSCの場合、審査員に対する要求事項もしっかり規定されているので、認証機関毎、大きく力量基準が異なることもないと思われるので、他の認証スキームより他機関への移籍がしやすいかもしれません。
私の知るところでは、このように、FSSC22000は、審査報告書の記載事項が、テンプレートを含め、かなり明確に規定されているので、FSSC22000スキーム要求に違反する認証機関は少ないと思います。
認証機関の審査報告書で記載が弱そうな所を挙げるとすれば、とりわけ、追加事項について「要求事項が非該当の場合、非該当を正当化する事由」についての記述です。
「非該当理由」について、例えば「組織に該当部門がないため非該当」という禅問答のような検証結果を平気で記載する審査員がいるそうです。
顧客や市場の食品安全に対するニーズが高まり、食品安全マネジメント認証を取得する組織は年々増加しています。そのため、食品安全マネジメントシステム審査員は不足気味で、世界的に「どれだけ短期間で審査員として育成できるか」がポイントになっているようです。
感覚論で恐縮ですが、品質マネジメントシステムの審査の本質を知らないと、真っ当な食品安全マネジメントシステムの審査は、できないように思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ804号より)
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