2022年10月25日に、各メディアが、「神戸連続児童殺傷事件」の裁判記録が全て破棄されていることを報じていました。

 

各メディアの報道によると、

◆最高裁は、社会的に注目される少年事件の記録は「特別保存」として、永久保存を指示できる

◆特別保存は、「必要と判断した場合」に、各地の裁判所に指示する仕組み

◆神戸連続児童殺傷事件など、重大な少年事件の記録が相次いで廃棄されていた

◆この「裁判記録廃棄問題」を受け、外部の有識者による委員会を開催する

◆委員会では、これまでの運用が適切だったかどうかなどを客観的に評価する

◆「特別保存」とした少年事件の記録は、全国で15件確認されている

・・・

ということだそうです。

 

要は、「特別保存」と最高裁が位置付けていた重大な少年事件の記録が、家裁に「永久保存」が指示されず、通常の保管期限を過ぎた記録同様に廃棄されていた、ということでしょう。

 

外部の有識者を集めて委員会を設置するそうなので、根本的に問題の原因究明と、「特別保存」の運用が効果的になるよう運用ルールを改善して欲しいものです。

 

しかし、国民目線で捉えれば、

・最高裁は、なぜ、特別保存扱いの裁判記録を、該当家裁にしっかり指示しなかったのか

・家裁から、最高裁に破棄を確認する仕組みはなかったのか

・裁判所が決めた裁判記録管理の運用を内部チェックする仕組みはないのか

といった点が気になります。

 

ただ、私は、みなし公務員の立場で仕事をしていた時期があるので、イメージが湧きますが、最高裁を頂点とした裁判所のヒエラルキーにおいて、公務員は、上から指示がなければ、下から上にお伺いを立てることは、通常はないでしょう。

そもそも、ヒエラルキーの下の立場の公務員マインドとして、余計な確認をするのは面倒です。

また、今回のように後で問題になっても、「家裁では記録廃棄の手順通りに処理した」と責任を回避することもできます。

 

それにしても、素朴な疑問なのは、最高裁が、ある少年事件を「特別保存」と決めた場合、該当記録について、通常の保管年限が過ぎる時点、あるいは、特別保存と定めた時点で、最高裁に裁判記録を移管する仕組みはなかったのでしょうか。

 

最高裁が「特別保存」とする目的は、「世相を反映した事件で史料的価値の高いもの」、「少年非行等に関する調査研究の重要な参考資料になるもの」などでしょうから、国家財産として、書籍で言えば「国会図書館」のように最高裁自ら記録を家裁から移管して管理すべきではなかったのかと思います。
 

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