各メディアが報じていますが、東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件について、2022年9月14日に、出版大手「KADOKAWA」のトップに君臨している角川歴彦会長が、贈賄容疑で逮捕されました。
角川会長は、業界団体の要職を務め、KADOKAWAの経営多角化を進めた大物著名人。
この逮捕の報は、社員の間には衝撃が走り、経営陣への怒りの声も漏れたそうです。
東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件の「KADOKAWAルート」について、すでに、贈賄容疑で逮捕された元専務と元室長と角川会長が共謀し、「AOKIルート」でも再逮捕されている大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(受託収賄容疑)に、合計約6900万円の賄賂が渡っていたようです。
事件の真相は、これから明らかになっていくと思いますが、この事件のポイントは、
・ワンマン体制の組織
・みなし公務員に対する贈収賄の適用
の2点だと思います。
これまでの各メディアの報道では、KADOKAWAの社内は、
・角川会長の周囲は、「イエスマン」で固められていた
・会長が「やりたい」といえば、誰も逆らえなかった
といった体質だったそうです。
私の世代だと、旧角川書店の中心人物は、歴彦氏の実兄で二代目社長の角川春樹氏ですが、春樹氏が、麻薬取締法違反で起訴され、失脚すると、歴彦氏が、
・ライトノベルなどの出版事業を強化
・「失楽園」、「リング」などの映画制作で成功
・電子書籍やゲームなどの新しい事業を推進
・ドワンゴ(ニコニコ動画を運営)と経営統合
・通信制高校「N高等学校」の開校
・文化複合施設「角川武蔵野ミュージアム」の設立
・・・
といった事業を手がけ、経営の多角化に成功しました。
一般論ですが、こうした従来の出版業の枠組みを超えた新規事業を企画提案し、成功を収めるには、素早い決断力や実行力が必要です。
つまり、ワンマン体制だったから、KADOKAWAは、ここまで事業を拡大し、売上を伸ばすことができた、と言えると思います。
しかし、こうしたトップの行動には、リスクも潜んでいますが、イエスマンでまわりを固めてしまえば、例えば、「コンプライアンス的にまずいのでは?」、「市場動向予測からこの事業の収益化は難しいのでは?」・・・といった社内の意見は、抹殺され、取締役会などでしっかり議論されず、取締役会が機能不全になっていた可能性があります。
それと、東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会の役員が「みなし公務員」で「贈収賄容疑の対象者となり得る」という認識が、収賄側(高橋治之氏)、贈賄側(KADOKAWAやAOKI)の双方が希薄だったのではないかと思います。
私は、学校を卒業して最初に勤務した職場が「みなし公務員」でした。
そのため、入社後研修では、今で言う「コンプアイアンス研修」で、「みなし公務員に相当するから、検査や審査に関連して、接待や金品の授受は、厳禁」としつこく教育されました。
しかし、電通時代に、東京五輪・パラリンピックの役員と似たようなに立場で活動してきた高橋容疑者はもちろん、AOKIやKADOKAWAなどのスポンサー企業には、「話を通してもらうためのコンサル費用」という程度の認識だったのかもしれません。
話題は少し逸れますが、個人的には、安倍元総理がご存命だったら、最近の「特捜案件」は、逮捕や起訴につながっていたのだろうか? また、KADOKAWAの今後の社内体制や多角化している事業活動への影響は、どうような影響があるのだろう?と思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ820号より)
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