組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「審査要員を順応させるプロセス」について。

 

認証機関に対する認定基準について、「審査要員の選定、教育、承認」に関する要求事項を以下に、引用します。

 

(ISO/IEC17021-1:2015より引用)

7.2.4 認証機関は、認証活動で起用する審査員の選定、教育・訓練、及び正式な承認、並びに技術専門家を選定する及び順応させるプロセスをもたなければならない。

審査員の力量の初回の評価には、力量をもつ評価者がその審査員の実施する審査を観察することによって決定する、審査中に要求される知識及び技能を適用する能力の評価を含まなければならない。

(引用、ここまで)

 

ISOマネジメントシステムにおける認証審査員は、このように認定基準で、審査員の選定、教育、承認の手順を規定するように要求されています。

この要求事項に沿えば、例えば、他の認証機関で、何年も審査業務に従事していた人物であっても、「じゃ、明日から、この審査を担当してください」という訳にはいきません。

要は、ベテラン審査員であっても、通常の審査員承認手順を省略できることはあっても、最低限、最初は、「リアルに審査実務を観察して承認しなさい」という要求があるので、「あなたを信用しているから、すぐに業務に従事して」とはならないのです。

 

現実的には、この要求事項で問題となるのは、「順応させるプロセス」をどのように計画管理するかでしょう。

例えば、審査員の専門性の関係で、通常配置する審査員では、力量が担保できず、スポット的に外部契約の審査員や技術専門家を起用するケースです。

 

初回登録の手順と運用は、問題がないとしても、起用回数が少ない(2~3年以上、審査実績がない)と実際問題として、認証機関として、事実上「登録しているだけ」という状況はよくある話です。

認証規格が2~3年で改訂されることは、スキームにもよりますが、あまりないとしても、認証機関の審査手順や認証審査における判断基準は、2~3年実務に従事していないと変化することはよくあります。

 

多くの認証機関では、「審査委託契約書」等で「定期的な審査員研修の受講義務」を規定しており、その受講をもって「順応プロセス」としている場合は多いようです。

しかし、現実的には、スポット契約の場合、何年もフォローされていないケースもあるので、「順応プロセス」をしっかり管理する必要があるでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ786号より)
 

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