組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「改善の機会を起票するケースしないケース」について。
ISOマネジメントシステム認証審査では、 審査を通じて「要求事項を満たしていない」(規格、法的要求事項、顧客要求事項、組織が規定した手順等)状態が判明すると「不適合」を指摘することになります。
一般的には、組織は「不適合」指摘はもらいたくないでしょう。
その理由は、
・不適合の責任を負わされる
・不適合が出たことで組織内での評価が下がる
・不適合に対する是正処置手続きが面倒
・是正処置確認に関わる追加の費用が生じる(場合もある)
・・・
といったことでしょう。
しかし、「重箱の隅をつつくような指摘で無ければ、どんどん出して下さい」という組織もあります。
それは、
・不適合の是正処置対応について、組織風土として抵抗がない
・第三者に指摘された方が、社内が動きやすく、変わりやすい
・不適合が出たことで、時間と予算を掛けて内部プロセスの見直しが捗る
・・・
といった理由でしょう。
また、指摘には、不適合以外に「観察事項」、「改善の機会」、「推奨事項」などがあります。
これらの定義は、決まっていないので、「観察事項=不適合が懸念されるもの」、「改善の機会=パフォーマンスを向上させるための活動に改善の余地がある」、「推奨事項=取り組むことが望まれるもの」などと位置付けているケースが多いように思います。
「観察事項」の場合は、「不適合っぽいけど、不適合と断定するだけの証拠が無い」、「ルールでそこまで決めていないから、不適合とは言えないけれど、ルールの解釈や運用によっては不適合になるかもしれない」・・・といったものもあるでしょう。
組織が、改善への取り組みについて前向きな場合は、正直、「観察事項」として指摘を検出しても、実質的には、是正処置相当/以上のことをやってもらえるので安心です。
また、不適合とすると、是正処置をしなければなりませんが、深刻な問題でなければ、実態としては、観察事項として指摘してもらった方が、本質的な取り組みができる場合があります。
それは、不適合の場合だと、指摘した側は、是正処置内容を確認し、是正処置の効果の確認をしなければなりませんが、担当者や作業者の「認識レベル」が原因の不適合は、急に「白から黒」に変えることは難しいでしょう。
しかし、是正処置確認をする側は、どこかで一度「完了」をしなければなりません。
無理に「完了」とすれば、次の審査で、また同様の問題が検出され「是正処置が効果的ではない」という評価をせざるを得なくなります。
したがって、「観察事項」として指摘を出して、指摘された側のペースで取り組んだ方がいいものも実際問題、あるのです。
改善の機会は、「継続的改善の前向きな組織」でなければ、起票しません。
ISO審査の場合、「改善の機会」は、指摘した側はフォローせず、組織の自主裁量で、取り組むかどうかを決めればいい性質ものもです。
つまり、「ISO審査はパスして維持できればいい」とか、「不適合以外は、直すつもりはないよ」という組織に改善の機会を出しても、全く無意味で、審査側の自己満足になってしまうだけなのです。
つまり「改善の機会」を出す、出さないは、「組織がマネジメントシステムについて、継続的な改善に積極的に取り組む」かどうかを、審査側が見定めて判断している場合が多いのかもしれませんね。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ777号より)
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