安倍晋三元首相を銃撃した犯人の犯行動機が「旧統一教会に対する積年の恨み」であったことから、マスメディアが旧統一教会関連の報道を盛んに取り上げるようになりました。
霊感商法や著名人が多く参加した合同結婚式など、学生時代にさまざまな社会問題になった旧統一教会に関する報道が「空白の30年」になっていたことからすれば、隔世の感があります。
それにしても、おおよそ年齢にして40歳以下のジャーナリスト、弁護士、大学教員などマスメディアに登場する機会の多い「論客」の多くは、
・旧統一教会が政治に与えた影響はさほど大きくない
・旧統一教会の信者は、創価学会の800万人と比較すればたいした人数ではない
・旧統一教会だけでなく、他の宗教団体も選挙応援など動員協力はしている
・・・
といった見解を述べ、我々、アラフィフ以上世代との温度差を感じます。
確かに、データで捉えれば、旧統一教会の信者数は、せいぜい10万人規模といわれています。
また、旧統一教会が国政選挙で言えば、小選挙区に与える影響は限定的で、非拘束式比例代表制が採用されている参院比例区で、1~2人の当選に影響があった程度という主張は、その通りだと思います。
つまり、「統一教会の基礎票で当選した国会議員は、せいぜい数人だから、政治への影響は限定的」という主張です。
たしかに、「国政選挙」に関して言えば、「その通り」ですが、前参議院議員の有田芳生氏が警察や公安関係者に取材した際に「旧統一教会の取り締まりがオウムのように強化されなかったのは政治の影響」と回答があったことや元文科事務次官の前川喜平氏が、これまで旧統一教会の名称変更が認められなかったのに、突如、認められたのは、時の文科大臣が安倍氏に忖度した可能性がある旨の談話から、客観的に「少なからず影響があった」と考える方が、自然だと思います。
それにしても、驚いたのは、「自民党が2012年にまとめた憲法改正草案」です。
各メディアの情報では、
「国際勝共連合(旧統一教会の一部門)の改憲案と、自民党の改憲草案が、一致している」
というのです。
例えば、
・勝共連合草案で「いかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならない」の文言の削除
・勝共連合草案で、国とその機関の宗教活動を禁じた条項に「この限りでない」を追記
・自民党草案で、信教の自由への制限と政教分離の原則が緩和
など、かなりの部分で草案が似ているそうです。
これらの報道や真偽は定かではありませんが、
・自民党は、旧統一教会の教義と同様に、同性婚やLGBT平等法に反対
・旧統一教会の影響で、『子ども庁』が『子ども家庭庁』に名称変更された
ことも世間から「やっぱり旧統一教会は、政治に相当食い込んで影響があったのでは」と思わせています。
したがって、国会で憲法改正を発議できても、国民投票で過半数を得るのは難しいのではないかと思います。
今回の「政治と旧統一教会の関係性」の中で、私が一番驚いているのは、安倍晋三元首相の祖父である岸信介元首相や「大物右翼運動家」の笹川良一氏が、「勝共」と志が一緒の「旧統一教会創始者の文鮮明氏に相当の肩入れ」をしていたことです。
文氏がアメリカで、脱税の罪で逮捕され、岸氏は、レーガン大統領に親書を送っています。日本国内への入国は金丸副総裁が口利きしたといわれてますが、裏には岸氏がいたのでしょう。
また、笹川氏は、統一教会と関連する政治団体「国際勝共連合」のイベントの挨拶で「私は文氏の犬だ」と発言したそうです。場を盛り上げるためのリップサービスかもしれませんが、笹川氏のキャラクター的に、へりくだるタイプではありませんので、よっぽどの恩義が笹川氏は文氏にあったのでしょう。
しかし、私には、文氏が「勝共という同じ志のフリをして、当時の日本の大物に近づいただけ」のように思います。
実際、「勝共」を掲げていたはずの文氏は、金日成氏とその後、共闘しており文鮮明氏が「心から勝共思想」だったのか、微妙です。
また、旧統一教会の教義は今も昔も変わらず「日本はアダム国家である韓国に奉仕する務めを負った“エバ国家”である」となっており、「日本人信者から莫大なカネを搾り取ることに容赦がない」状態です。
そのような教義がある団体であることを、岸氏や笹川氏は、知らなかったのではないでしょうか。
こうして、そのような「日本人が食い物にされる教義を持つ宗教団体」に、当時の大物がコロッとだまされ、今に至る日本における旧統一教会の下地を作ってきたと思われるので、メディアは、この経緯をしっかりと取材して、国民に伝えてほしいものです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ814号より)
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