2022年7月21日付けのABCニュースが、

「”おとり広告”で炎上のスシロー 今度は半額生ビール“品切れ”で注文できず 一部店舗では開店直後から在庫なし」

という見出し記事を報じていました。

 

記事によれば、(※筆者が記事を一部編集)

◆生ビールが、何杯でも半額キャンペーンを7月13日から実施している

◆「スシロー」の生ビールは、税込み528円

◆運営会社は、キャンペーン開始直後から一部の店舗では、品切れだったことを明かした

◆「スシロー」の運営会社は、フード&ライフカンパニーズ

◆運営会社によると、13日から18日までに全国17の店舗で品切れが発生した

◆このうち1店舗は、開店直後にもかかわらず品切れだったことも分かりました。

◆運営会社は「想定以上の注文があったため」と説明している

◆キャンペーンは予定通り28日まで実施する

◆「残りの期間は、在庫管理を徹底して、品切れが起きないように努める」としている

とのことです。

 

私は、以前、飲食チェーンの業務改善コンサルティングを担当したことがありますが、一般論として、この種のキャンペーンを実施する際は、

・各店舗での売り切れが、生じないよう在庫数量を計画する

・利益面から販売数量の上限を決める必要があるなら、「限定○杯」を店舗に表示する

・売り切れの場合は、入店時に、来店客に確実に伝える

・・・

といった点を企画段階で、しっかりと設計するはずです。

 

しかし、これまでの報道から、「キャンペーン企画は本部」、「販売管理は各店舗」といった明確な棲み分けがされており、「キャンペーンを事業会社一丸となって盛り上げよう」という体制になっていなかったことが想像されます。

 

つまり、本部は「キャンペーンを企画するだけ」、店舗は、「キャンペーンを単に実施するだけ」で、「キャンペーンにおける適正在庫」を本部は設計することがなく、「キャンペーン期間中の適正在庫」は、各店舗任せだったのでしょう。

 

そうなると、店舗によっては、キャンペーン中は利益が出ない生ビールの在庫を日頃より多めに在庫計画するという発想が生じるわけがありません。

本部が店舗に対して、例えば、「キャンペーンは、お客様感謝デーの意味もあるから採算より顧客満足向上を優先して下さい」といった方針を示さない限り、各店舗は「目先の利益を優先した商品の在庫管理」をするのが当然です。

 

本部の企画と現場が一体化している飲食チェーンでは、

・キャンペーン商品の売上げ

・キャンペーン商品利用者に対するアンケート(顧客満足度)

などを実施して、会社全体でキャンペーンに力を入れていますが、「スシロー」は、こうした仕組みもなかったのかもしれません。

 

運営会社は、「残りの期間は、在庫管理を徹底して、品切れが起きないように努める」との考えのようですが、キャンペーンの目的や各店舗の在庫数量について、本部が指示をしない限り、店舗には、例えば、「回転率を上げたい」などの「キャンペーンの成功とは相反する経営管理指標」があり、なかなか運営会社の思惑通りのキャンペーンにならないような気がします。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ812号より)
 

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