2022年7月20日付けの東海テレビが、

「4階付近から落ちてきて下敷きに…中学校で給食配膳用のエレベーターが落下 1階で作業中だった男性が死亡」

という見出し記事を報道していました。

 

記事によれば、(※筆者が一部編集)

◆愛知県豊田市の中学校で19日夜、給食配膳用のエレベーターが落下した

◆エレベーターの落下により1階で作業をしていた59歳の男性が下敷きになり死亡した

◆男性は、病院に運ばれましたが、およそ3時間半後に死亡が確認された

◆事故は、菅生さんの同僚が4階でエレベーターを固定する作業中に起きたとみらる

◆現在、警察が詳しい原因を調べている

とのことです。

 

私は、以前、エレベーターの設置や保守点検を業務としている会社のコンサルティングを担当したことがあります。

その時の経験でいえば、あくまでも、一般論ですが、この事故の原因は「作業員の連携ミス」でしょう。

 

いわゆる「カゴ」を上げた状態で作業をする場合は、「落下防止措置」を実施します。

また、「カゴ」の下で作業を行う際は、上と下で連絡を取り合って、「落下防止措置」が確実な状態になったことを確認して、作業に入ります。

つまり、まずは、「下敷きになって亡くなった作業員と上の作業員の連絡確認」がちゃんと実施されていたのかの検証が必要です。

 

次に、作業員同士の連絡が取れていたなら、「落下防止措置は、作業手順にしたがっていて、確実な状態だったのか」を検証する必要があります。

仮に、手順通りの落下防止措置をしていたのに、カゴが落下したなら、ワイヤーなど落下防止器具の不具合だったか、落下防止措置手順そのものが効果的ではなかったことになります。

 

今回の作業が、定期点検なのか、故障による修理点検だったのかわかりませんが、仮に後者(修理点検)だったとしたら、故障原因の究明と再発防止もすべきでしょう。

 

報道では、

「亡くなった男性の同僚が4階でエレベーターを固定する作業中に起きた」

とあるので、そこから想像すると、今回の事故は、

「エレベーター修理に関する作業手順の逸脱」

だと思います。

「カゴの固定中にエレベーターの下に作業員がいる状態」

を作ってはいけないのです。

亡くなった方の年齢から想像すると、ベテラン作業員なので、「慣れ」による「不安全作業によるリスクの認識が希薄」だったのかもしれません。

 

月並みですが、運営会社は、しっかりと原因究明と再発防止策を実施し、このような痛ましい事故の発生が再発しないよう、徹底した改善を図って欲しいですし、エレベーター点検業者の選定・発注にあたって、自治体は「労働安全衛生マネジメントシステムが確立している組織」(例:認定された認証機関からISO45001を取得している組織)を優先的に発注するなど、安全への取組がきちんとしている組織を選んで欲しいものです。
 

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