組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「認証書の更新」について。
既認証組織が、マネジメントシステムや登録内容に影響がある変更を実施する場合は、認証機関によって名称は異なりますが、「マネジメントシステム変更届」を認証機関に提出します。
その変更届を受領した認証機関は、変更内容を確認して、
・変更審査が即座に必要か否か
・変更審査は、次回サーベイランスと一緒でいいか
・認証書の変更が必要か
・・・
といったことを確認します。
製造ラインの完全なアウトソース化のような大幅な変更や、新たな製品について、組織が早々に認証書に明記したいといった事情が無い限り、多くの場合は、「次回審査と一緒に変更審査を実施する」という判断になるでしょう。
変更審査が実施される場合、担当審査員に対して、認証機関事務局からは、
1) 事務局から担当審査員に変更内容の確認の指示
2)認証書の更新(新たな認証書の発行)の必要性の指示
がされます。
担当審査員は、変更内容について、既存のマネジメントシステムに変更内容が反映され、有効的に機能しているか、現地審査で確認し、審査報告書にその旨を記載します。
また、認証書の変更(認証書の記載内容の拡大、または縮小)があれば、その認証表記の内容の変更を含めて、審査報告書に記載し、認証機関事務局に「認証書の発行(更新)」を推薦するという手順になります。
しかし、例えば、
・担当審査員が、認証書の変更を忘れた
(すなわち、認証表記の変更内容を審査報告書に明記しなかった)
・認証機関事務局は、審査報告書に、認証書発行の推薦が無ったため、何もしなかった
(すなわち、認証書の変更が必要であったが認証書を更新しなかった)
という状況だと、問題が発生します。
このケースだと、「担当審査員も認証機関事務局」の両方がミスを起こしています。
まず、担当審査員は、「変更審査」なので「認証書の更新が必要か、否か」を確認していません。
また、認証機関事務局は、「変更審査」として担当審査員に審査指示をしているので、「認証書の更新(新たな認証書の発行)が必要かどうか」について、審査報告書でしっかりと報告されているかどうかのチェックが必要なのです。
担当事務局の立場で捉えれば、よっぽど、印象的な組織でないかぎり、このようなミスはしっかりとシステム化しておかないと、日常業務の中では、「担当審査員が失念していたことを事務局も気づかずにスルー」するでしょう。
「ひとつの審査案件」として捉えると「このようなミスはなぜ発生したんだろう」と客観的には感じますが、事務局では、年に数百件の変更届を受理しているので、仕組みが確立していないとミスはいつか発生するという典型事例と言えるでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ783号より)
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