2022年6月6日付けの朝日新聞デジタルが、

「コンビニFC店主の請求認めず 「団交権ある労働者」との訴えに判決」

という見出し記事を報じていました。

 

記事によれば、

・セブンのFC店主らが加入する「コンビニ加盟店ユニオン」(岡山市)がある

・当該ユニオンは2010年に岡山県労働委員会に救済を求めた

・求めた救済は、「団体交渉に応じないセブン本部の対応は不当労働行為」だというもの

・岡山県労働委員会は、2014年に、団体交渉に応じるようセブンイレブン本部に命じた

・セブン本部は、岡山労委の判断について厚労省中央労働委員会に再審査を申立た

・東京地裁は、労働者と認めなかった厚労省中央労働委員会の命令を是認した

・その結果、命令の取り消しを求めた店主らの請求を棄却する判決を言い渡した

ということです。

 

この裁判で争点になった判断は、

「労働者かどうかの判断には、以下の3条件を総合的に考慮すべき」

という判断の枠組みを示したそうです。

1)FC店主が本部の事業に不可欠な労働力として組み入れられているか

2)本部が労働条件を一方的に決めているか

3)店主の報酬が労務への対価と言えるか

 

また、東京地裁は、「商品の仕入れ、従業員の採用、立地といった店舗経営の基本方針や重要事項の決定」は「FC店主が自ら事業者として行う」と指摘し、「収益も商品などの対価であり、契約上の義務に対する本部からの報酬とは言えない」と述べ、「本部と対等に団交できるよう労組法で保護すべき労働者にはあたらない」と結論づけたそうです。

 

個人的には、東京地裁は、「コンビニのFC店舗の特性を理解していない」ように思います。

確かに、「労働者か否かの3条件」に当てはめれば、蓋然的には、「そうとは言えない」です。

しかし、FC経営は、現実的には、

・FC店舗は本部との専属契約である

・セブン店舗はFC主体であり明らかに不可欠な労働力

・店主の希望は考慮されるが労働条件(営業時間等)は本部主導

・商品価格、FC料が決まっている以上、実質的に報酬は労務対価

といった点で、「労働者」に相当するように思います。

 

話題は変わりますが、ISOマネジメントシステム認証の業界においては、「認証機関の審査員」の多くは、フリーランスです。

日本で活動する認証機関のひとつに「ドイツ品質システム認証株式会社(DQS)」があります。

詳細は省きますが、DQSでフリーランスの審査員として活動する一部の人は、「情報労連De-self労働組合DQSジャパン支部」という労働組合に加盟しています。

しかし、DQSが「この労働組合を認めなかった」等から、東京都労働委員会に申立てをして、最終的には「労働者にあたる」と東京都労働委員会から判断されています。

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/03/31/01.html

 

今の時代は、多様な働き方の時代なので、労務契約上や会計上は、業務委託者であり、外部委託者であっても、実質的には「労働者相当」というケースが多いように思います。

冒頭の「セブンイレブンのFCオーナー」の裁判は、「コンビニ加盟店ユニオン」が、控訴を検討しているそうなので、まだまだ、最終的な結論が出るまでは時間がかかりそうですが、今後の動向に注視したいと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ806号より)

 

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