2022年6月5日付の読売新聞が、
「生コン不正再利用、東京・神奈川の住宅で強度不足の恐れ…70件が違法建築か」
という見出しの記事を報じていました。
記事によれば、
◆川崎市の生コンクリート製造販売業者(K建材)がJIS規格に反する生コンを製造した
◆この生コンを使用した住宅等、約70件が違法建築の可能性があり、各自治体が調査中
◆違法生コンを建物の主要部分に使うと、建築基準法違反及び安全性に影響が出る
◆調査対象の一部の住宅は引き渡しや工事の停止を余儀なくされている
◆K建材は、現場で余った生コンを再利用し、新しい生コンを混ぜて出荷する不正をしていた
◆建材試験センター(※)は、2月21日にK建材のJIS(JIS A 5308)の認証を取り消した
※一般財団法人建材試験センターは、JISマーク表示制度の登録認証機関
とのことです。
ご承知の方も多いと思いますが、生コンクリート業界では、2008年7月の生コン不正問題(藤沢市の製造業者がJISに適合しない原料を混ぜた生コンを各地に納入)により、この生コンが使用されたマンションやホテル、住宅などが国交省から違法建築と認定されたことで、業界団体(全国生コンクリート工業組合連合会)が主導して、再発防止や加盟各社の法令順守に向けた研修を強化してきました。
しかし、今回、JISを取り消されたK建材は、業界団体に加盟していなかったそうです。
K建材は、業界団体に加盟していませんでしたし、「余った生コンに、新しい生コンを混ぜる」というJIS(レディミクストコンクリート)に違反する手順で、生コンを出荷していたのですから、コンプライアンス意識が低い会社であることは明白です。
K建材の不正が、経営者も認識した会社ぐるみなのか、競合他社とのコスト競争の結果から現場の判断による不正なのかは、K建材が、製品認証(JIS)を再申請した際には、しっかりとチェックして、根本的な再発防止が取られていなければ、認証してはならないと思います。
それから、K建材の生コンを購入していた各施工業者のマネジメントシステムの観点で私が気になる点は、
・施工業者の購買先選定基準に「生コン業界団体加盟社であること」は無かったのか
・施工業者が、建設現場で実施する生コンの受入検査手順は適切だったのか
といった点です。
建築物には、民間の戸建て住宅だけでなく、自治体発注の公共建築物もあったとすれば、建設現場で、生コンの受入検査(例:納品書と打設計画書の確認、スランプ試験、空気量測定、塩化物量測定、生コンの温度確認など)は、しっかりと実施しているはずです。
私のような「外野」の立場で言えば、受入検査は、施工業者の現場監督(施工管理者)や監理技術者が自らチェックすべきと考えますが、実際は、出荷した生コン工場の試験員が実施していることが多いそうです。
真面目な生コン業者の方が多いと思うので、疑うのも失礼ですが、現場監督等施工側の管理者の目をごまかして受入検査をするのは、ベテランの生コン業者の試験員なら、容易にできるようです。
したがって、今回、K建材の生コンを使用した各施工会社は、
・K建材を購入先として選定するなら受入検査の監視体制を強化すべきだった
・生コンの受入検査を施工業者自ら、または、第三者機関が実施する仕組みにすべきだった
と思います。
今回の「生コン不正」をきっかけに、今回の問題とは無関係だった施工業者を含め、「今の当社の管理方法にはリスクがある」として、未然防止策を取るのか、関係者(例:自治体など発注者、ISO認証機関)は注目するべきでしょう。
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