また、日本の大手企業(子会社)で、検査データの改ざん問題が発覚しました。

 

2022年5月9日付の産経新聞によると、

◆日本製鋼所は9日に子会社で品質検査の不正があったことを発表した

◆子会社は、日本製鋼所M&Eで、製品は、火力発電所向けのタービンや発電機の軸材

◆複数の検査の測定値や分析値を書き換え、1998年から継続的に行われていた

◆不正の原因は、納期の遅れを避けるため

◆顧客要求基準に満たなくても過去の実績などから検査部門に書き換えを指示していた

◆2022年2月に内部通報狩り、日本製鋼所が抜き打ちの社内調査を実施

◆日本製鋼所は2022年3月に不正を確認し、顧客への説明と経産省への報告を行った

ということだそうです。

 

会社のWebサイトによれば、日本製鋼所M&Eは、

『従業員数1450人、事業内容は、主に「鋳鍛鋼部門」、「鋼板部門」、「溶接組立部門」、「新エネルギー・水素関連部門」、「機械加工部門」、「保守・点検サービス」』

があり、今回、発覚した検査データの改ざんがあった部門は、「鋳鍛鋼部門」と思われます。

 

また、

『2020年に、日本製鋼所 室蘭製作所、素形材・エネルギー事業、風力発電機器保守サービス部門、グループ会社4社を統合し、事業子会社「日本製鋼所M&E株式会社」を設立』

とあるので、2年前に日本製鋼所の事業再編によって誕生した組織のようです。

 

さらに、ネットからの情報を整理すると、おそらく、

「日本製鋼所の素形材・エネルギー事業、風力発電機器保守サービスの技術部門」

→日鋼MEC株式会社

「日鋼MEC株式会社が株式会社日鋼機械センター、日鋼検査サービス株式会社、株式会社J-Winを吸収合併」

→商号を日本製鋼所M&E株式会社に変更

という経緯で誕生した会社のようです。

 

つまり、今回の検査不正は「日本製鋼所の子会社の日本製鋼所M&E」と報道されていますが、「遅くとも1998年から検査不正があった」ということなので、元々は「日本製鋼所 室蘭製作所」時代からの検査不正問題といえるでしょう。

 

不正の真の原因はこれから解明されると思いますが、少なくとも24年に亘って検査不正が行われてきたと言うことは、内部監査を含め、社内のガバナンスが機能していなかったということになります。

また、当時の「日本製鋼所 室蘭製作所のトップ(所長)」が検査不正に関わっていた(不正を知っていた)としたら、組織ぐるみの不正といえます。

 

個人的に関心があるのは、「内部通報者が、どのような属性の人なのか」という点です。

若手社員なのか、ベテラン社員なのか、管理職や役員クラスなのか、定年間近の社員なのか、どういう動機で内部通報に至ったのかを知りたいです。

 

日本製鋼所M&Eのパンフレット(Webサイトに掲載)には、ISO9001、ISO14001、OSHMS取得との記載があります。

JABのWebサイトでは、日本製鋼所M&Eの検査部門がISO9001を取得(認証機関は、JMAQA)していることは確認できましたが、その他の部門が、認証を取得しているのかについては、不明です。

仮に、検査不正があった「鋳鍛鋼部門」がISO認証を取得しているのであれば、認証機関は、組織に対して厳正な処置と自らの認証審査の有効性を検証して欲しいと思います。
 

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