2022年4月16日に、早稲田大学の社会人向け講座の講師を担当した吉野家幹部の発言が、世間を賑わしています。

 

ご存知の方も多いと思いますが、簡単にこの出来事を振り返ります。

・早稲田大学の社会人講座の講師を担当したのは、吉野家の常務取締役企画本部長

・社会人講座は、早大主催「デジタル時代のマーケティング総合講座」

・講座の目的は「デジタル時代のマーケターとしての総合力」養成の履修証明プログラム

・修了者には早大から履修証明書が発行される

・実施期間は4月16日~7月30日(80時間)で全29回

・受講料は38万5000円(税込)

・問題発言は、初回の講義(デジタル時代のマーケティング計画策定)の中での例え話

・若者を狙ったマーケティング戦略を「生娘がシャブ漬けになるような企画」と例えた

・吉野家は、「お客様に対して多大なるご迷惑とご不快な思いをさせた」として謝罪した

・10年かけて開発した親子丼の新CM発表(19日予定)を急遽中止した

 

この発言は、ジェンダーフリーや差別的発言について、社会から厳しい目で見られている現代社会において、「アウト」でしょう。

報道では、この吉野家常務取締役は、「不適切な言い回しで、不愉快な思いをされた方がいたら申し訳ないんですが」と前置きして、

・生娘をシャブ漬け戦略

・田舎から出てきた右も左もわからない和解女の子を無垢・生娘なうちに牛丼中毒にする

・男に高いメシを奢ってもらうようになれば、絶対に食べない

と語ったそうです。

 

例えに使った言葉を精査すれば、

「生娘」、「女が男に奢ってもらう」→性差別、人権侵害

「シャブ漬け」→犯罪

なので、多くの人から反発の声が上がるのは当然でしょう。

 

私も、研修会やセミナーなどで、受講生にわかりやすく、かつ、場を盛り上げようと、例え話をしますが、よっぽどの語彙力、あるいは、表現力がないと、下品な例えになってしまいます。

仲間内での話題であれば、今回のような「前置き」をして予防線を張っておけば、済みますが、受講生との関係性が薄い(今回、講義を受けた受講者のほとんどと初対面のはず)時に、話す例えとしては、ふさわしくなかったことは間違いありません。

 

当初、このニュースを聞いたときに、「一般論のマーケティング」として、「シャブ漬け」の例えばしたのかと思っていました。

「シャブ」という例えば、まずいですが、たばこ、アルコールはもちろん、食品は、基本的には「中毒性」、「習慣性」を「マーケティング戦略」としている企業が多いのは事実でしょう。

多くの人は、「子どもの頃に食べた味」に愛着があるので、マクドナルドは、「子ども向け商品」を作って、幼少期からハンバーガーを食べさせているのです。

 

ただ、この常務は、「牛丼」を「男に奢ってもらうようになったら牛丼は食べない」との認識ですが、そもそも、吉野家のターゲット層は、女性ではないでしょう。

それにしても、この発言の代償は大きいです。

常務取締役は、役員を解任されるようですし、10年掛けて開発した親子丼の新CM発表という晴れ舞台を台無しにして、金額ベースに換算すれば、莫大な損失です。

今回の件は、「口は災いの元」の典型的リアル事例と言えるでしょう。

 

ちなみに、私は、年に1~2回しか吉野家さんを利用していませんが、今回の件で、「吉野家を嫌いになること」はないですし、逆に「構想10年の親子丼」を発売されて落ち着いた頃に食べてみたいな、と思った次第です。

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