組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「顧客限定のマネジメントシステム」について。

 

ISOマネジメントシステム認証の場合、「顧客限定のマネジメントシステム」の是非については、昔から議論がありました。

よくあるケースは、「官公庁発注の公共工事はISOを適用するが、それ以外の民間工事にはISOを適用しない」というケースです。

つまり、ISOの適用範囲は「顧客が官公庁の場合に限る」となるわけです。

ISO認証審査においては、このような場合は、「ISOの適用範囲が妥当か否か」を組織のおかれている状況や説明を確認して、判断し、その結果を審査報告書に記載します。

 

このようなケース以外の「顧客限定」には、「社内顧客」を顧客とした事例があります。

例えば、ある製品を製造している工場があり「工場のみ」を「ISO適用組織」とすると、工場に生産依頼をする例えば、「営業部門」が、「マネジメントシステム上の顧客」となるので、このケースは「社内顧客」となります。

しかし、原則的には、ISO9001の2015年版では、ISO認証は、その製品について、「本来の顧客に対するマネジメントシステムを保証するもの」という考えが根本にあります。

したがって、「社内顧客」を「顧客」としてマネジメントシステムを構築した場合は、組織がその正当性を論理的に構築し、認証機関に説明して、審査で妥当と判断されない限りはISO認証されません。

 

その他に「顧客限定」のマネジメントシステムとしては、「製品の設計、製造とその製品の施工」を一貫した責任で実施している組織が、「モノの生産」と「施工」を切り離すケースです。

例えば、コンクリート二次製品を設計、製造し、公共工事で施工する組織が、「コンクリート二次製品の設計、製造」でISO認証を取得したい場合です。

この場合、最終的な発注者(顧客)が、公共工事であれば、「官公庁」ですが、「コンクリート二次製品」自体の生産依頼をするのは、「施工部門」です。

したがって、施工部門は、組織内の部署なので、「社内顧客」かつ「顧客限定」となるのです。

 

私見ですが、このようなケースは、ISO認証としては、「あり得る」でしょう。

ただし、認証機関は、

・「施工部門」以外のからのコンクリート二次製品の生産依頼のケースはどのぐらいあるか

・「施工部門」まで含めずとも「顧客」である官公庁の要求事項は満たせるのか

・ISO認証をWebサイトや宣伝などでどのように引用し、活用しており、それは適切か

・・・

といった点について、少なくとも、初回審査と再認証審査の審査報告書では、その正当性について検証し、結果を記載することが必要でしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ789号より)
 

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