2022年3月16日付の朝日新聞デジタルが、
「花畑牧場の労使対立、会社が入管に契約と違う雇用期間書類を提出」
という見出しの記事を報じていました。
記事によれば、
◆「花畑牧場」で、寮の光熱費値上げに抗議したストライキを巡って労使が対立している
◆契約書類とは契約期間が異なる文書を、出入国在留管理庁に提出していた
◆入管法では、雇用期間や労働時間を明記した雇用条件書の提出等が義務になっている
◆これらの提出書類が虚偽の場合は罰則の対象になる
◆花畑牧場とベトナム人実習生が2021年3月に結んだ契約期間は3月15日までだった
◆ストライキのリーダー格と判断した3人を含む24人について再契約しないとした
◆しかし、入管当局に提出した雇用条件書では、9月30日や10月31日になっていた
◆期限前に契約を解約するのなら、報復的な解雇で、雇用継続等を訴えている
とのことです。
このような話は、外国人実習生に関する雇用契約では、あるようです。
つまり、ビザの期限までの雇用条件書(契約書)を作り、入管に提出し、その後、例えば、半年毎の契約書を作成する。
結果として、入管に提出した契約期間まで、雇用を延長すれば、問題がない。
今回の花畑牧場の件では、雇い止めが妥当か、そうで無いかがポイントになるでしょう。
他の報道では、花畑牧場側(田中義剛社長)が、「ストライキと認識していた」証拠の音声データがあることを報じていましたが、
・ベトナム人実習生全体の3割の不当雇い止め
・ストライキ交渉申し入れ
・主導したベトナム人に対する報復的損害請求
といった可能性を考えると、外国人実習生の雑な扱いから、労働環境が真っ当な会社ではない、と言えるような気がします。
真相は裁判で明らかにされていくと思いますが、寮の燃料光熱費の突然の値上げは、労使のコミュニケーション不足ですし、外国人実習生を「安い労働力」としての捉え方や理性より感情が優先する経営者の言動や行動が問題の根っこにあるのかもしれません。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ794号より)
《追記》
2022年3月19日の各メディアの報道で、花畑牧場とベトナム人従業員との間で、約3ヶ月間に亘って起こっていた労使紛争について、花畑牧場側はベトナム人側の主張を全面的に認め謝罪したことが報じられていました。
主な内容は、
・ベトナム人従業員3名と、3月18日付で労使紛争について和解した
・会社の信用を傷つけたとして、名誉毀損で刑事告訴していたが取り下げた
・ストライキを主導した3人に対して損害賠償(200万円)請求を取り下げ
・本来の契約期間である10月までの給料を解決金として支払う
・組合に対して労使紛争の解決金として100万円支払う
・自社HPに謝罪文を1週間掲載する
だそうです。
全国紙での報道からのスピード解決は、労使双方にとってよかったと思いますが、世間の花畑牧場や田中義剛社長に対するイメージは、本件を通じて、相当なダメージを残したのではないかと思います。
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