近年、企業の「非財務情報」という言葉を見かけるようになりました。

今さらですが、「非財務情報」とは、「ESG情報」(環境・社会・ガバナンス)や「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析の情報」(MD&A)等を指します。

 

世界的に、非財務情報の重要性が高まり、大企業を中心として多くの企業が、非財務情報の開示に取り組んでいます。

また、国(経済産業省)は、2021年6月に、企業の情報開示における非財務情報への関心の高まりや非財務情報の開示指針を巡る世界的な動向変化を踏まえ、質の高い非財務情報の開示を実現する指針のあるべき方向性を検討するため、「非財務情報の開示指針研究会」を立ち上げています。

 

なお、世界的には、「非財務情報の公開義務化」の流れが近年、加速しているようです。

例を挙げると、

・2013年:イギリスが会社法を改正(戦略報告書の中でESG情報を記載)

・2014年:EUが500人以上の企業に情報開示を義務づけ(2016年導入)

・2017年:台湾証券取引所が上場企業に非財務情報の公開を義務化

・インド、マレーシア、オーストラリアでも非財務情報の公開が義務化

となっています。

これらの世界的な潮流を受け、日本でも金融庁が公開義務化の検討中のようです。

 

《TCFDとは》

日本で「金融安定理事会」(Financial Stability Board、FSB)と呼ばれる2009年に発足した世界的な組織があります。

FSBは、国際金融に関する措置、規制、監督などの役割を担う組織で、事務局は、スイスにある国際決済銀行内におかれています。

 

この金融安定理事会(FSB)の中に、「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)があります。

TCFDでは、企業に対して、気候変動がもたらす「リスク」及び「機会」の財務的影響を把握し、開示することを提言しています。

 

TCFDの提言(気候変動がもたらす「リスク」及び「機会」の財務的影響を把握・開示)に基づいた取組みは、「SDGs」につながるので、近年では、多くの企業が、関心を高めています。

直接的なこれらの取組みは、現在、グローバル企業が中心ですが、それに加えて、社会の仕組みの変化や金融システムの変化に伴い、この動きに同調する大企業やそのサプライチェーンの中小企業への影響も今後は出てくると思います。

 

では、中小企業は、これらへの備えとして何をすればよいか?

月並みですが、まずは、「環境や社会的責任を含む組織マネジメントの見える化」でしょう。

組織体制の構築には、ISO9001や14001に代表されるISOマネジメントシステムの構築も有効な手段のひとつとなるでしょう。

 

個人的には、SBTやTCFDが要求する枠組みや組織体制を支援するISO規格を作成し、例えば、ISO14001の追加要求事項として、ISOマネジメントシステム認証機関が認証する制度となり、ひいては、東証上場基準として、この認証が採用されることが理想だと思います。

ISO認定機関(JAB)やISO認証機関は、経産省とタッグを組んで、「非財務情報の公開義務化」に適合した認証制度を構築してもらいたいものです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ794号より)
 

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