ISOマネジメントシステムを導入・運用している会社の内部監査を指導することが多々あります。
その際の思い出をいくつか紹介したいと思います。
(エピソード1)
内部監査に立ち会う機会があった時のこと。
その部門の内部監査は、予定では2時間かけて実施することになっていました。
内部監査員は、組織での勤務歴が30年以上のベテラン。
仕事に精通しており、どんな内部監査をしてくれるのか、注目していました。
すると、結論から言えば、20分ほどで「先生、もう、終わってしまったのですが、監査を終了してもよいのでしょうか?」と私に聞く。
「えっ?!もう終わりですか?」と逆に質問する私。
内部監査を担当した方は、「もう聞くことがない」というような顔で困った顔をしていたので、そこから私が代わってその部門のインタビューを続けました。
・今年度の部門目標を説明してください
・部門目標の設定根拠を教えてください
・目標達成のための手段と監視方法は?
・目標の進捗状況を監視する基準はどのように設定していますか?
・〇月と△月は、未達ですが、どのような対応を取りましたか?
・・・
このように、目標管理ひとつを取り上げても、聞きたいことは延々とあります。
しかし、この内部監査員が用意したチェックリストを確認すると、
・目標管理シートが作成されているか
・目標管理シートは部門長に承認されているか
・品質会議で目標の進捗が報告されているか
・・・
といった調子なので、
・目標管理シートがある→〇
・目標管理シートに部門長の印鑑がある→〇
・品質会議の議事録に目標管理の項目がある→〇
と「記録の存在の有無」を確認して監査を終了し、次の項目の確認に入っているから、「20分で終了」だったのです。
(エピソード2)
ある従業員30人程度の組織の経営者から、「うちは業務監査を発注先の要求で実施しているから、それを内部監査としてもいいか?」と相談されました。
この相談は、その組織が、ISOマネジメントシステムを導入する際に、現状業務との差分分析をしている時のことです。
ご存知のように、1990年代~2000年代前半のISOが「文書や記録が増えて無駄な業務が発生する」と多くの組織から批判されたのは、「ISO導入によって無駄な業務が付けたされたため」ということも一因としてあります。
ざっくりした話をすれば、要は、「ISO要求事項と現状業務の差分分析が十分にされていなかったこと」にあります。
つまり、例えば、もともと「経営目標」や「事業計画書」があるにもかかわらず、新たに「品質目標」や「品質目標活動計画書」なるものを作成していたため、同じようなことを両方の記録に記載するといった無駄が生じていたわけです。
ですから、私は「業務監査の内容にもよりますが、ISOの内部監査が意図している内部監査が業務監査で実施されているなら、内部監査と位置付けるかもできませんね」と経営者には回答しました。
実際に業務監査記録や手順を確認すると、結論から言えば「監査の目的」がISOの内部監査が意図するところとずれていました。
(後編に続く)
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ669号より)
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