2022年3月4日に、SMBC日興証券の幹部4人に対して、特定の銘柄の株価を不正に維持した疑いが強まったとして、東京地検特捜部が、金融商品取引法違反(相場操縦)の容疑で逮捕しました。

 

この「相場操縦」容疑で使われた方法が、「ブロックオファー」という手法だそうです。

このブロックオファーとは、証券業界では「日常的な取引のひとつ」とされているそうで、今回逮捕された幹部からは、

・正当な業務である

・自社で過大な利益を得る目的ではないため悪質性は低い

・刑事罰には当たらない行為

などと、取り調べでは主張していると報じられています。

具体的には、

・個別の上場企業についてまとまった株式を売り出したい大株主から株式を買い取る

・時間外取引で、不特定多数の投資家に転売する

・証券会社は、買取り額と売却額の差益を得る

・株価が大幅に下がると取引が成立しなくなる恐れがある

・証券会社は、株価を維持する目的で買い注文を大量に入れて大幅な下落を抑える

という仕組みのようです。

 

そもそも、証券会社の収入の仕組みはどうなっているかと言えば、基本は、「株式売買の取次トレーディング業務の手数料」でしょう。

その他に、

・新規発行の株や債券の引受や売出する際の手数料収

・アンダーライティング業務でのIPOの手数料

・NISAなど資産管理手数料

・自社のための株式売買によるディーラー業務での収入

等があると思います。

 

つまり、証券会社は、投資家が、株式を売買することで手数料収入が入るわけです。

そういう意味では、証券会社は、証券口座を持つ顧客に活発に株式の売買取引をしてもらいたいのです。

実は、私もSMBC日興證券に証券口座があり、わずかながら株式を保有しています。

某ネット証券口座もありますが、当然ですが、ネット証券は、営業マンから直接電話が掛かってくる、あるいは、個別のメールで営業されることはありません。

しかし、SMBC日興證券は、担当営業マンから、しょっちゅう連絡があります。

現在私が、SMBC日興證券で保有している株式は、長期保有するつもりなので、短期的な売買はしないことを担当営業マンには伝えているのですが、それでもしょっちゅう電話が掛かってきます。

預金として眠っているお金を投資させて、手数料を稼ぎたいんだろうなぁ、と想像できます。

 

したがって、ビジネスモデルとして、手数料収入を得るために、大口の投資家には、絶えず株式売買をしてもらうために、証券会社として売買が成立するよう、株価を下支えする仕組みがあり、この手法は、「証券会社の常識」だったのでしょう。

そのため、今回逮捕された4人にとっては、「これが違法とされるなら証券会社の商売はあがったりですよ」という本音ではないでしょうか。

 

金融商品取引法は、「金融商品の公正な取引」、「投資家の保護」を目的とした「株価操縦を処罰」するきまりです。

したがって、「株価とは、企業の経営実態を正当に市場が評価して形成されるもの」という原則論で捉えれば、「証券会社が意図的に株価の下落を防ぐために買い支えすること」は、「株価操縦であり違法性が強い」と判断することができるでしょう。

 

ただ、「株価の下落を防ぐために買い支えすること」って、日本銀行も、間接的にやっているんじゃなかったでしたっけ??

ご存知のように、日銀は、「物価の安定」と「金融システムの安定」を理由に、ETF(上場投資信託)や国債、REIT(不動産投資信託)などの金融資産を買って、市場にお金を供給し、市場の資金循環の改善、予想実質金利の低下、企業の資産価格上昇といった効果を出しています。

本来、市場から淘汰されるべき企業がゾンビのように生き残っているのは、日銀がこうしてETFなどを買っているからで、「正当に企業実態を評価」した結果として買っているわけではないと思います。

 

東京地検特捜部は、起訴できるだけの証拠集めを当然やっているでしょう。

また、今の時代は、コンプライアスの時代なので、一言で言えば、「SMBC日興證券は、コンプライアンス意識が低い会社」ということになり、世間的な評価は「アウト」でしょう。

しかし、「刑事罰を問うほどの違法性があるか」となると「証券業界のビジネスモデル的」にも、今回の「違法とされる相場操縦で得られた利益的」にも微妙で、凄腕の弁護士がつけば、果たして、有罪に問えるのだろうか?という気が、シロウト考えですが感じる事件だと思います。

 

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