組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「製品/サービスの拡大審査」について。
ISOマネジメントシステムの認証では、既に認証されている組織のスコープ(認証範囲)を拡大することはしばしばあります。
認証範囲の拡大には、「製品/サービスの拡大」と「組織の対象部門やサイトの拡大」がありますが、前者について考えてみたいと思います。
認証組織が、「製品/サービスの範囲を拡大」したい場合は、認証機関に、「システム変更届」を提出し、
・認証範囲の変更
・対象要員数の変更
・計画している審査の時期
など、拡大範囲に関する情報を認証機関に届け出る必要があります。
認証機関の要求にもよりますが、少なくとも一般的には、
◆マネジメントシステム文書類の改定
◆拡大範囲におけるマネジメントシステムの運用とその実施記録
◆拡大範囲を含む内部監査の実施
◆拡大範囲を含むマネジメントレビューの実施
が拡大審査を受審する前の前提条件になると思います。
ポイントは、「拡大審査をどのタイミングで受審するか」です。
「認証機関の訪問を1回で済ましたい」と考えるなら、直近に実施するサーベイランスまたは再認証審査で拡大するのが効率的でしょう。
しかし、「拡大する製品/サービスの製造機会やサービス提供機会が極めて少ない」場合は、認証機関と拡大審査の受審計画の際に、入念な打ち合せを実施する必要があります。
認証スキーム(例:ISO9001、14001、22000、45001など)にもよりますが、認証機関によっては、「審査当日に、拡大対象の製造やサービス提供の現場確認」を必須とするからです。
つまり、サーベイランスや再認証審査など、もともと予定されていた審査に加えて拡大審査を実施する場合は、製造業の場合であれば、生産計画を審査の日に合わせる必要があります。
拡大する製品が、年間計画で決まっていて、例えば、食品製品のように賞味期限を気にすること無く自社で生産スケジュールがコントロールできる場合は、審査日程に製造予定を合わせることは容易です。
しかし、受注生産品で、しかも受注頻度が少ない場合は、「拡大審査」を単独で実施した方がいいかもしれません。
ただ、マネジメントシステム認証の場合は、「仕組みの審査」なので、例えば、
・拡大範囲に関連する部門の役割と要員の力量
・受注から製品引き渡しまでのプロセス運用記録
・製造フロー及び製造プロセスに関する手順書、検査基準等の確認
・製造設備などインフラの確認
・・・
などができれば、拡大範囲の製造現場は、認証機関の審査プログラムで確実に管理できるのであれば、次回審査に送ることも可能なのかも、と私は思います。
言わずもがなですが、認証範囲の拡大は、業務の見える化による技術継承や業務改善、要員の力量向上、コンプラ対応といった目的もありますが、基本的には、対外的な信頼性向上や取引要件対策なので、認証範囲を拡大する場合は、組織と認証機関は、しっかりと確実にコミュニケーションを取る必要があるでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ782号より)
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