組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「現地審査での確認と審査報告書の記述」について。
認証機関に対する認定基準について、「審査報告書」に関する要求事項を以下に、引用します。
(※引用が長いので、コラムの結論を急ぎたい方は、読み飛ばしてください)
(ISO/IEC17021-1:2015より引用)
9.4.8.2 審査チームリーダーは、報告書が作成されることを確実にし、その内容に責任をもたなければならない。
審査報告書は、情報に基づく認証の決定ができるように、正確、簡潔、かつ、明確な審査の記録となるものでなければならず、次の事項を含めるか、又は参照しなければならない。
a) 認証機関の特定
b) 依頼者の名称,住所及び代表者
c) 審査の種類(例えば,初回審査,サーベイランス審査,再認証審査,特別審査など)
d) 審査基準
e) 審査目的
f) 審査範囲,特に審査した組織単位若しくは機能単位又はプロセスの特定,及びその審査の時間
g) 審査計画からの逸脱及びその理由
h) 審査プログラムに影響を与える重大な課題
i) 審査チームリーダー,審査チームメンバー及び同行者がいればその人の特定
j) 審査活動(現地又は現地以外,常設又は一時的サイト)を実施した日付及び場所
k) 審査の種類に求められる事項と一致する審査所見(9.4.5 参照),審査証拠の参照及び審査結論
l) 最後の審査を行ってから,依頼者のマネジメントシステムに影響を与える重大な変更があった場合、その変更
m) 未解決として特定した全ての問題
n) 該当する場合,複合審査,合同審査又は統合審査であるかどうか。
o) 審査が入手可能な情報からのサンプリングに基づいたものであることを示す免責事項
p) 審査チームからの推薦
q) 該当する場合,審査される依頼者が,認証文書及びマークの使用を有効に管理しているかどうか。
r) 該当する場合,以前に特定された不適合に対して取られた是正処置の有効性の検証
9.4.8.3 審査報告書には、次の事項に関する記述も含めなければならない。
a) 証拠の要約と併せて、マネジメントシステムの適合性及び有効性に関する記述で、次に関係する事項。
- 該当する要求事項及び期待される結果を満たす,マネジメントシステムの能力
- 内部監査及びマネジメントレビューのプロセス
b) 認証範囲の適切さに関する結論
c) 審査目的を満たしたことの確認
(引用ここまで)
認証機関の審査員として、審査報告書を作成したことがある方であっても、この「審査報告書に対する要求事項」をよく、理解していない方は、「うちの審査報告書は、記述するところが多くて・・・もっと簡素化できないものか」というでしょう。
しかし、一義的には「安易に簡素化することはできない」というのが、結論です。
認証機関によって、審査報告書のテンプレートは、異なりますが、このように、認定基準では、審査報告書に対する要求事項が、詳細に規定されているので、どうしても、全てを満たすテンプレートを作成すると、報告書に記載する内容は、膨大で、まともに報告書を作成しようとしたら、まるまる2日は掛かるでしょう。
(後編に続く)
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