北京冬季五輪の2022年2月8日に実施されたスキージャンプ混合団体で、女子選手ばかり5人が失格になった問題に、少し触れておきたい。
各種報道によると、
・高梨選手は、抜き打ちの事後検査で、スーツの太もも部分が基準をオーバーしていた
・失格になったのは、4ヶ国5人(日本、ドイツ、ノルウェー2人、オーストリア)
・通常は、1名の検査員が、この日は、3人だった
・ノルウェー選手は、「通常の測定方法ではなかった」と主張
・ポーランド人の道具チェック責任者は、「新たな測定手順は一切踏んでいない」と主張
・失格になった5人は、女子個人戦でも同じスーツを着ていた
・混合団体の検査では、道具チェックの男性責任者が女子選手の検査に介入した
・道具チェックの男性責任者は、非常に厳格な測定で知られるフィンランド人だった
・日本チームは、高梨選手の失格は、スタッフの確認ミスと報道陣に説明した
・・・
といったことが報じられています。
あくまでも筆者の感想ですが、気になるのは、
・通常の測定ではなかった点
・混合団体出場の全選手に対して同じ検査体制で事後の寸法検査をすべき
です。
報道では、
「通常の測定では、選手は腕を体から30センチほど横に向けて伸ばして測定を待つが、団体混合の当日は腕を頭の上に置いたまま測定された」
そうです。
国際スキー連盟が規定した測定方法の詳細がわからないので、あくまでも、一般論ですが、「腕を体から30センチほど横に向けて伸ばした状態」と「腕を頭の上に置いた状態」では、測定結果に違いが出るのは当然でしょう。
つまり、身体的な条件が仮に同一だったと仮定した場合、個人戦と団体戦の測定結果が異なるのは必然です。
また、報道では、男子の道具チェック責任者(マテリアルコントローラー)が、女子の道具チェック責任者に「“女子の検査は緩い”と指摘し、混合団体の検査に男子の道具チェック責任者が立ち会った」と報じられています。
これも、一般論ですが、組織(国際スキー連盟)内部での立場が強い人(男性の道具チェック責任者)が、女子の検査に立ち会えば、女子の検査責任者は、自分の日頃の正当性を主張するために普段より「厳格」になるのも必然でしょう。
今回の5人の失格騒動は、「五輪での初実施種目」、「男女混合種目」ということで、注目を浴びましたが、これまでのW杯など女子ジャンプの「道具チェックは緩いからちゃんと検査を実施しましょう」というのであれば、今シーズンのW杯から、実施してくるべきだったでしょう。
これまで「緩かった」ものが「厳密」に検査されるのは、道具チェック側の立場で言えば、「正しい測定をした」と正当性を主張するのは当然です。
しかし、選手側からすれば、
・男子の道具チェック検査基準並でやるならばシーズン当初からするべき
・五輪本番の「ジャンプ混合団体」から、女子の検査体制を変えたのか、事前説明すべき
・「厳格に検査する」というのであれば、事後検査は、女子選手全員に実施すべき
と考えるのは当然です。
また、一生を賭けて闘っている選手をリスペクトする上でも、判定に対する「選手の異議申し立ての権利」の仕組みを設けて、国際スポーツ競技の透明性を高めるべきでしょう。
それにしても、検査側、選手側の立場で捉えれば、それぞれの主張は「ごもっとも」ですが、「五輪競技だから4年に1回関心を持ってみる」というレベルの一般市民にとっては、この失格騒動は、10ヶ国中4ヶ国、しかも強豪国が失格し、なんだかシラける展開だなぁ、と思わずにはいられない結果となったと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ789号より)
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