2022年1月18日付けの神奈川新聞が、
「横浜・鶴見の商品センターでフォークリフト転倒、従業員が膝下切断 ノジマを書類送検」
という見出しの記事を報じていました。
記事によれば、(※筆者が一部編集)
◆労働安全衛生法違反の疑いで、家電量販大手ノジマの社員が書類送検された
◆鶴見労働基準監督署が送検したのは、ノジマの商品センターグループ次長
◆送検容疑は、2021年2月13日に、特別教育を行わせず社員にフォークリフトを運転させた
◆最大荷重0.9トンのフォークリフトが2階から1階の傾斜路で転倒
◆運転していた40代の社員は、左膝下を切断する事故を負った
◆鶴見労基署によると、ノジマはは容疑を認め「再発防止に取り組む」としているという
・・・
ということだそうです。
多くの方がご存知だと思いますが、「労働安全衛生法第59条第3項」、「労働安全規則第36条第5号の業務」、「安全衛生特別教育規程第7条に基づく教育」では、「特別教育を必要とする危険有害業務」を規定しています。
この危険有害業務には、今回の報道があった「最大荷重 1 トン未満のフォークリフト運転業務」の他に「チェンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務」や「動力プレスの金型、シャーの刃部又はプレス機械・シャーの安全装置・安全囲いの取付け、取外し又は調整の業務」、「アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等の業務」、「ゴンドラの操作業務」、「ボーリングマシン運転業務」、「小型ボイラー取扱業務」、「玉掛業務」などがあります。
これらの危険有害業務は、所定の特別教育を作業者に受けさせる必要があるのです。
例えば、フォークリフトの場合は、
《学科》
・走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識→2時間
・荷役に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識→2時間
・運転に必要な力学に関する知識→1時間
・関係法令→1時間
《実技》
・走行の操作→4時間
・荷役の操作→2時間
が法定教育となっています。
私の経験ですが、フォークリフトを扱う企業に訪問すると、いまでは、それなりの規模の会社や大企業からの発注を受けている会社は、ISOマネジメントシステム認証を受けていることが多いので、マネジメントシステムを構築する過程や認証審査を通じて、業務に関連して該当する法規制等の遵法性をチェックしています。
つまり、まず、該当する危険有害業務に従事する人は、講習会を受講しています。
しかし、一昔前だと、これらの業務は、工場内や倉庫内など、会社の敷地内で実施される業務のためか、法令順守意識が薄い会社もあり、特別講習を受けずに実践レベルで「運転慣れ」した作業者が、結構いました。
今回の事故を起こした社員は40代ということなので、もしかしたら、フォークリフト業務の経験は10年以上のベテランでしょう。
つまり、「特別教育を受けていたとしても事故が発生しなかった」とはいえません。
しかし、今回のような事故を発生させれば、報道され、会社側の責任者は責任を負うことになります。
ちなみに、豊洲市場のニュース映像でよくみかける「ターレ」(構内運搬車)は、「労働安全衛生規則 第二編 第一章の二 荷役運搬機械等」に規定されており、安全衛生教育を修了していることが業務に従事できる条件となっています。
それにしても、ノジマのような著名な企業で、未受講者が業務に従事していたことは、驚きです。
マネジメントシステムに関する外部のチェックや内部監査の仕組みは機能していたのか、気になるところです。
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