2021年12月17日10時20分頃に、大阪市北区曽根崎新地1丁目にある雑居ビル(堂島北ビル)4階にある「西梅田こころとからだのクリニック」(心療内科)から出火し、24人が亡くなったそうです。(死因の多くは一酸化炭素中毒)
現在の報道では、この「心療内科」の患者である61歳の男性が、待合室にあったストーブにガソリンをまいて引火し、火は一気にクリニック内に広がったようです。
消火活動は、出火から30分程度で完了したにもかかわらず、被害者が多く発生した原因を考えてみたいと思います。
一般的に、消防法では「二方向避難」の確保が求められています。
しかし、この堂島北ビルは、小規模のため適用除外で、非常口は、待合室のあった入口側に1箇所の「一方向避難」のビル。
(要は、出口は、エレベーターか非常階段のみ)
また、11階以上のビルには、スプリンクラーの設置が義務づけられていますが、このビルは8階建てなので、それも適用外。
さらに、専門家の話では、「コロナ禍による換気目的で、防火扉が開けられていた可能性」も指摘されています。
このような火災が発生する度に、消防法や建築基準法は改正されますが、専門家の話だと、「放火による火災」については、想定されていないそうです。
今回の「大阪ビル火災」で、専門家やコメンテーターは、「法律の改正」や「基準を満たさないビルの使用禁止」などの必要性をよく語ります。
私もこうした「もしもの時にリスクが高いビル」については、スプリンクラーなどの設備設置費用補助や日常的なビルの安全管理の強化は、これまで以上に対策が必要だと思います。
しかし、個人的には、「ものごとの考え方」として、「ゼロリスクはありえない」し「小規模ビル」に「過度な経費負担は求めるべきではない」と思います。
「ポジショントーク」として、私が、例えば、「ビル管理の専門家」や「企業のBCP(事業継続計画)の専門家」としてコメントを求められたら、「消防法や建築基準法の見直しは必要です」、「日常的な安全管理の仕組みと徹底は必要」、「避難訓練を含め、緊急事態想定は必要」・・・といった見解を示すでしょう。
けれども、私たちが、「何かをするとき」、例えば、「ちょっと汚いけど、評判の屋台料理」に食べにいくときは「食中毒になるリスクは高いかも」と承知の上で食事に行きます。
また、今回のような雑居ビルを利用する際は、「避難路はどこだろう?」と頭に入れて入室します。
仕事で、仕事仲間の自家用車に便乗」させてもらう機会があります。しかし、私の仕事仲間のH氏は、「仕事での移動は、タクシーなどプロを絶対に利用する」と決めていて、自家用車に乗ることはありません。
つまり、「どうしても、自らのリスク管理上、リスクが高いことは絶対にやらない」と考えるなら、そのような人は「利用することをやめればいい」だけです。
これを、「限りなくリスクゼロ」にするために、一律に高い基準で法令や規則にしばりを入れると、社会はまわらなくなると思います。
話題は変わりますが、この「大阪ビル火災」が発生したとき、私は、このビルから直線距離で、300m程度の距離にあるビル(西天満)の中で会議中でした。
会議の席では、「(ネットニュースで)被害者がどんどん増えていて心配ですね」という話題になっていました。
火災といえば、20年以上前に、広島市にある「お好み村」の2階で食事をしているときに、上階の居酒屋かカラオケで火災が発生し、消防隊に「早く避難して下さい」と誘導されたことがありました。
この時以来、自然と、ホテルを含めて、ビルに入るときは「非常口」を確認するようになりました。
東日本大震災以降、全国各地に、「ここは、海抜○m地帯です」という看板をよく見かけるようになりました。
要は、地震が発生した際に、「津波が発生したら、この地区は、危ないですよ」と人に認識させるための看板でしょう。
つまり、今回の「大阪ビル火災」から学ぶべきことは、法律等の見直しも必要ですが、まずは、「ビルの入居者、利用者、来場者等に対して、「このビルはスプリンクラーが無く、非常口が1箇所ですよ」とわかりやすく認識させる工夫が必要なのではないかと思います。
「リスクが高くこのビル内のテナントは利用したくない」と考える人は、利用しませんし、「リスクを承知の人」は利用するだけの話だと思います。
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