組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「認証登録マークの適切な使用」について。

 

ISO9001(品質)、ISO14001(環境)、ISO45001(労働安全衛生)、FSSC22000(食品安全)など、マネジメントシステム規格の認証を取得した組織は、認証組織の証である登録マークを使用できます。

 

ただし、マネジメントシステムの認証は、製品やサービスそのものの優位性の証ではなく、「製品やサービスを市場に提供するための仕組み(品質や環境、食品安全など)の適合性の証」なので、登録膜の使用に当たっては、いくつかの制限があります。

 

登録マークの使用に関する代表的な制約事例を下記に示します。

 

《登録マーク等使用上の主な制約》

◆マネジメントシステムが適用されている認証範囲以外では使用できない

→認証された仕組みが、組織が提供する製品、サービスの一部である場合や組織の一部の部門である場合、組織のウェブサイトで、登録マークを表示する時は、「○○製品で認証取得」や「○○部門は除く」などの説明が必要です。

 

◆認定シンボル又は FSSC22000 ロゴのみでは使用できない

→登録マークは、組織を審査して認証した認証機関のロゴマークになります。認定シンボルは、認証機関を認定している認定機関のロゴマークを指します。FSSC22000ロゴとは、スキームオーナー(FSSC22000規格を作成管理する団体)のロゴマークです。

登録マークは単独で使用できますが、認定シンボル、FSSCロゴは、登録マークと組み合わせなければ、使用できません。

 

◆認証された組織名と登録マーク及び認定シンボル等を極力近い位置に表示する

◆登録マークと認定シンボル、FSSCロゴ等は、認証された組織のロゴマークよりも大きく目立つように表示しない

→ロゴを使用する場合は、第三者に「組織が取得した○○の認証である」ということがわかるように、組織名の近くに登録マークや認定シンボル等を表示し、組織ロゴより大きく表示してはいけません。

 

◆登録マークは、製品等や製品保証書、取扱説明書には、使用できない

→これは「製品認証」と誤解されるおそれがあるためです。したがって、例えば、ISO9001(品質)を取得した組織であれば、「この製品は、品質マネジメントシステムの国際規格である ISO 9001 を認証取得した組織で製造されています」といった文言を明記しなければ、製品や製品保証書に使用できません。

 

このように、マネジメントシステム認証においては、多くの制約事項があります。

そのため、ウェブサイトや会社パンフレットなど、説明が明記しやすい媒体に登録マークは使用されても、名刺や会社の封筒、看板などに登録マークを使用する組織は、最近は減ってきているように感じます。

マネジメントシステム規格が「仕組みの認証」であることが、一般社会に広く認知されれば、認証機関の登録マークには、「ISO9001」、「ISO14001」あるいは「QMS」、「EMS」などの表示がされているので、市場から、例えば「この組織は、品質マネジメントシステムの認証と受けているから、製品の受注から出荷、問題が発生した場合の対応手順など、組織のPDCAサイクルがあり、有効に機能している組織だから安心して購入できるね」という認識が「世間の常識」となると思うのですが、残念ながら、そこまで一般には知られていないようです。

 

あるシンポジウムで、大学の先生が、学生(2つの大学)数百人に対して実施したアンケートでは、6~7割近くの学生が、「マネジメントシステム認証」について、なんとなく知っているそうです。

 

しかし、継続的に大量の製品や原料を購入する組織や公共工事のように高額な製品・サービスを発注する場合は、「マネジメントシステム認証」に対する関心が高くなるのは当然ですが、一般消費者が、モノやサービスを購入・利用する場合は、「価格の安さ」や「特色のあるサービス」自体に魅力を感じているので、なかなか「製品やサービスを生み出す組織の仕組み」には、関心が薄いのが現実なんでしょうね。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ760号より)
 

【好評発売中!】

事例で学ぶコンプライアンスⅠ』

(トータルEメディア出版)

事例で学ぶコンプライアンス Ⅰ | TEM出版書店 (total-e-media.jp)

事例で学ぶコンプライアンス | 有賀正彦 |本 | 通販 | Amazon

 

『できるビジネスマンのマネジメント本』

(玄武書房)

https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/

 

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】
(パソコンでアクセスしている方)

http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html
Twitter:https://twitter.com/ariga9001