2020年12月に、爪水虫などの皮膚治療薬への睡眠導入剤成分の混入などの問題を発表した製薬会社「小林化工」が、2021年12月3日に、サワイグループホールディングスに製造工場などの資産を譲渡すると発表しました。

 

各メディアの報道では、

◆小林化工は、問題発覚後の調査で法令違反(試験実施日の改ざんなど)が見つかった

◆福井県から116日間の業務停止命令と業務改善命令を受けていた

◆あわら市にある4つの工場と物流センター、研究施設などを譲渡する

◆「サワイグループホールディングス」(サワイGHD)は、後発医薬品の大手メーカー

◆資産譲渡に伴い、生産部門などにいる社員は、原則サワイグループに移ることが可能

◆移籍対象者は、約600人いる従業員のうち、生産部門などの約500人

◆2022年3月末までに譲渡を完了させる

◆商品在庫や特許などは小林化工に残り、今後も被害者の補償などを続ける

ということだそうです。

 

今回の事業譲渡は、サワイGHDが、小林化工と小林化工の筆頭株主のオリックスに、打診して、話がまとまったそうです。

オリックスは、2020年に小林化工と資本業務提携し、筆頭株主になったようです。

客観的には、筆頭株主になった途端に、睡眠導入剤成分混入問題や法令違反が発覚し、業務停止命令が出され、顧客はもちろん社会的信用を失い、被害者への補償問題も生じたので、オリックスは「見る目がなかった」といえるでしょう。

このような状況下では、私の想像ですが、3者(サワイ、小林化工、オリックス)にとって、メリットが大きい事業譲渡ではないかと思います。

 

その理由として、サワイGHDは、後発医薬品大手ですが、2020年度は、同じく後発医薬品大手の日医工に品質不正とそれに伴う製造停止が発生し、後発薬の供給不足が発生しているからです。

また、現在、ジェネリック医薬品メーカーの大手は、日医工、沢井製作、東和薬品の3社ですが、日医工と沢井製薬は、売上高で激しい首位争いをしています。

 

したがって、サワイGHDにとって、小林化工の生産部門や物流拠点の事業買収は、新規に工場を設立することを考えたら、買収額にもよりますが「事業拡大にメリットのある買収」といえるでしょう。

 

小林化工やオリックスにとっても、譲渡額が不明ですが、事業譲渡益と現在保有する在庫と特許で、被害者救済に専念することができますし、社員の雇用問題も、大きく解決します。

捉え方にもよりますが、割を食うのは、移籍対象外の事務部門など間接部門の社員と小林化工の株式を持たない役員、幹部でしょう。

 

小林化工や日医工の法令違反などの問題の一端には、国(厚生労働省)の薬価削減と後発医薬品推進行政、医薬品メーカーの行政管理・指導の方針や仕組みに問題があったともいわれています。

医療現場や薬局では、現在、薬品の出荷調整などがあり、必要な薬品が不足しているという状況も発生しているようです。

日本の医薬品に関する政策が本来どうあるべきか、しっかりと議論を進めることも併せて取り組む必要があるのでしょうね。

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