2021年10月にニュースになった話題に「裁判所の電気を使えない弁護士事件」があります。(※この出来事が発生したのは、9月27日)
ご存知の方も多いと思いますが、簡単に振り返っておきます。
◆裁判長から「法廷内の電源は国の電気だ」と弁護士に電気の使用禁止した
◆この事件は、横浜地裁で進行中の刑事事件で、「公判前手続」で生じた
◆弁護士は、「刑事被告人が弁護人の援助を受ける権利を侵害する」と東京高裁に抗告した
ちなみに、弁護士は抗告理由として、
#1 パソコンの利用は効果的な弁護活動を行う上で必要不可欠であり、
弁護人の援助を受ける権利を侵害し違憲である
#2 法廷での弁護活動は「私的」なものだから国の電気の使用を許されないというのは、
刑事弁護人の公共的役割に対する無理解に基づくもので、およそ的外れで時代錯誤的
な思い込みによる判断である
ことを挙げているそうです。
法律論に基づく白黒は、東京高裁の判断を待つしか無いですが、一般論として考えると、「この公判前手続における裁判所の電源の使用に関するコミュニケーションの問題ではないだろうか」と思います。
要は、
・弁護士が、パソコンの電源として、当然のようにコンセントを使用した
・裁判官が、この態度にカチンときて指摘した
・指摘された弁護士は、ムッとして、自らの権利を主張した
・自説を主張する弁護士に対して、正攻法で「国の電気だ」と使用を禁止した
・・・
というような流れではないかと思います。
私自身の懺悔ですが、数年前まで、温浴施設や駅構内などで「コンセントの無断借用」をしたことがたびたびありました。
お金を払って温泉や鉄道を利用しているんだから、ちょっとぐらいコンセントを使ったっていいだろう、という身勝手な論理ですが、この行為は、もちろん「盗電」で違法です。
近年は、反省して、明らかにコンセントの使用が意図されている待合室などを除き、施設スタッフに「スマホのバッテリー残量が少ないので、使わせてもらえませんか」と(当たり前のことなのですが)ひと声掛けるようにしました。
このようなシチュエーションでは、たいていは、快く「どうぞ使って下さい」と了解してもらえます。
私は、仕事柄、訪問先の会議室でパソコンを使用することが日常的です。
今の時代、パソコンが業務に必要なのは、訪問先の人も「周知の事実」なので、電源使用は「暗黙の了解事項」だと思います。
しかし、適切な対人関係を築くためには、「使用させて下さい」とひと声掛けるのが、基本的なマナーでしょう。
弁護士、裁判官とも「法律家」なので、一度、こぶしを振り上げてしまえば、「原則論の応酬」になるので、「裁判での決着」という異例の結果になってしまったのだと思いますが、スタートは、「使用させて下さい」のひと言の有無ではないかと思います。
このニュースからの学びは、今の時代、当たり前と化していることでも「きちんと筋を通す(ひと声掛ける)」、「きちんとお礼を言う」といった基本的な振る舞いを忘れてはならない、という教訓にしたいと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ776号より)
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