(前編からの続き)
ちなみに、認証機関の審査員には、以下の要求事項があります。
(ISO17021-1:2015より抜粋)
9.4.4 情報の入手及び検証
9.4.4.1 審査証拠となるように、審査中に、審査目的、審査範囲及び審査基準に関する情報(機能間、活動間及びプロセス間のインタフェースに関連する情報を含む。)を適切なサンプリングによって入手し、検証しなければならない。
9.4.4.2 情報の入手方法には、次を含めなければならないが、これに限定するものではない。
a) 面談
b) プロセス及び活動の観察
c) 文書及び記録のレビュー
(規格の引用、ここまで)
つまり、ざっくりいえば、
・審査証拠は適切なサンプリングによって情報を入手する
・情報の入手は、聞き取り、実際の業務の観察、文書・記録の確認により実施する
ということになります。
内部監査指導をする機会が仕事上、多いですが、内部監査員は、事務局から与えられた「標準チェックリスト」を埋めることに注力していて、効果的なサンプリングがされていないし、審査証拠の収集が聞き取りに偏っているケースが、結構あります。
内部監査員の力量評価として「内部監査員の評価記録」を検証すると、「要求事項の理解も正しく、被監査部門とのコミュニケーションも良好だった」云々といった記録をよく見かけます。
しかし、さらに、突っ込んで、この「評価記録」を調査すると、例えば、
「サンプリング事例の製品が、毎回、同じだなぁ」
「記録の検証ばかりで、規定類との整合性があまり審査されていないなぁ」
というケースも案外多いです。
ある大手食品工場の事例ですが、
・聞き取りによる確認主体で、被監査側の回答(緊急事態)を鵜呑みにしている
・他の工場(横持ち)や協力工場から受け入れた原料の特性を確認していない
・固形物の製品の回収訓練例ばかりで、ローリー製品の回収訓練例を確認していない
といったケースを経験したことがあります。
例えば、北海道では、2018年9月に北海道胆振東部地震が発生し、北海道電力の電力供給が数日間停止しました。
殆どの食品製造工場では、工場の稼動や原料調達、製品保管等で影響を受けているので、例えば、被監査側が、「緊急事態の発生例は数年間ないです」という回答だったら、少し疑って、追加の質問をしなければ、おかしいのです。
要求事項や法規制等は、事務局がチェックリスト等で準備してくれるので、確認漏れは、あまりないと思います。しかし、業界や地域のトピックス情報については、審査員は、日頃からアンテナを張ってチェックしていないと効果的な審査ができないことを自覚、認識する必要があるし、審査の管理者は計画的に教育する必要があるのは言うまでもありません。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ760号より)
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