2021年10月31日は、衆議院選挙の投票日ですが、併せて実施されるのが「最高裁判所裁判官国民審査」です。
知っているようで、よくわかっていない「最高裁判所裁判官国民審査」制度。
簡単に制度を整理してみました。
◆日本国憲法第79条第2項及び第3項と最高裁判所裁判官国民審査法に基づく制度
◆任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に国民の審査を受ける
◆国民審査から10年を経過した後に行われる衆議院総選挙の際に再審査を受ける
◆最高裁判所裁判官の定年は70歳
◆最高裁判所裁判官に任命される者はほとんどが60歳以上
◆再審査を1回受けた裁判官は過去に6人で、2回受けた人はいない
最高裁判所裁判官は、15人いて、そのうち、今回対象となる裁判官は11人です。
この11人の内、「岡正晶氏」、「堺徹氏」、「渡邉恵理子氏」、「安浪亮介氏」は、それぞれ着任日は、「2021年9月3日」、「2021年9月3日」、「2021年7月16日」、「2021年7月16日」となっています。
つまり、「国民審査」といいつつも、私たちには、この4人について、最高裁裁判官としての実績が殆どないので、「判断材料」がありません。
NHKのWebサイトでは、
・審査対象の11人の裁判官のプロフィールや主な裁判の情報を掲載している
・自分の関心のある分野の裁判について、どのような判断を示し意見を述べたかを見る
・裁判官の個人の経歴を見る
これらを通じて、判断につなげてください、との説明があります。
もちろん、国民審査制度の趣旨は、
・有権者の権利である公務員罷免権を積極的に発動することの可否を問うもの
・裁判官の職にある者に対する任命行為の妥当性に関する信任投票ではない
というものではありますが、「着任から3ヶ月程度の裁判官を審査対象にすること」は、なんだか、制度が形骸化しているようにも思えます。
多くの最高裁判所裁判官が、60歳を過ぎて着任することと、衆院選挙の間隔が最大4年あるので、国民審査のタイミングを「着任してから最初の衆院選で」としておかなければ、国民審査を受けずに退官する最高裁判所裁判官が発生する可能性もあるためでしょう。
個人的意見ですが、現在の規定では「国民審査から10年を経過した後に行われる衆議院総選挙の際に再審査を受ける」ことになっていますが、この「10年」が形骸化の原因だと思います。
当事者の最高裁判所裁判官からすれば「いままで、国民審査で罷免された最高裁判所裁判官はいない」という前例から、国民の声(世論)を気にせず、法律と自身の信念に基づいて淡々と判決を導き出していると思います。
しかし、着任したばかりのこの4名の方は、年齢的に、事実上、「再審査」を受けることはありませんから、「国民に注目されている」という意味での緊張感やストレスは、今後の裁判においてゼロでしょう。
もうちょっと、「国民審査の意義」が感じられる制度に変えられないものかな、と思います。
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