2021年10月6日に、約97人分の年金通知書が誤送付されたことがわかりました。
各メディアの報道から、この問題をざっくりと整理しておきます。
◆誤送付されたのは、愛知、三重、福岡の3県45市町村に住む計97万2023人分
◆岐阜県内の委託業者「サンメッセ」による印刷ミスが原因
◆圧着はがきの内側に、基礎年金番号や振込先、年金額など、別人の年金記録が記載
◆日本年金機構は、氏名は書かれておらず、個人の特定にはつながらないとの説明
◆岸田文雄首相は、原因究明や再発防止に努めるよう後藤茂之厚生労働相に指示した
◆後藤厚労相は、チェック体制や委託方法の検証を含め、再発防止を機構に指示した
・・・
ということです。
月並みですが、この報道がされたとき、多くの国民は、「またか」という思いと「自分の老後の生活資金は自分で守るしかない」と感じたのではないでしょうか。
報道があって、私は、すぐに日本年金機構のWebサイトにアクセスし、「お詫び文」(2021.10.6版)を確認しました。
これを謝罪文の基本構文である「社長限界でしょ」でチェックしてみました。
・被害者への謝罪:記載あり
→「お客様に大変なご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び致します」の文言がありました。
・調査結果の報告:記載あり
→誤った記載内容や誤送付された地区の言及はありますが、誤送付数や被害状況については触れられていません。
・原因の明示:記載なし
・改善策の提示:記載なし
・処分、賠償:記載なし
このように分析すると、お詫び文の体をなしていません。
基本的に、「誤送付された方が特に不安に感じる」
・個人名の記載はない
・正しく印刷した通知書を送付(10月11日予定)する
・10月15日にお支払いする年金は、正しい年金額でお支払いします
という点が強調された文章になるのはわかります。
しかし、「一体どうなっているの?」という国民全体の不安には、応えた内容ではなく、二次被害の注意喚起もないので、国民の年金不安を煽るような詐欺被害が今後増加すると予想します。
しかも、このお詫び文には、誤送付された年金通知書について、
「可及的速やかに返信用封筒をお送りいたしますので、その返信用封筒にて返信いただくか、廃棄いただきますようお願いいたします」
という文面もあります。
「廃棄」・・・おいおい、そのまま廃棄したら、さらに個人情報が漏れてしまいます。
それにしても、よく言われる話ですが、印刷、発送を担当する外部業者の選定方法、業務管理方法に問題があることは間違いありません。
一般論ですが、公務員や準公務員には、そもそも、業者選定能力や管理能力は欠如していると思います。
外部業者から提出される再発防止策についても的確な評価ができるとはとても思えません。また、後藤厚労相も就任まもなく、その点はお気の毒だと思いますが、記者会見の様子はなんとなく他人事です。
根本的な仕組みの見直しまで着手することができるのか、後藤大臣の手腕にも注視したいと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ771号より)
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