2021年7月に、一橋大学出身者として、初の財務省事務次官に就任した矢野康治氏が、月刊誌「文芸春秋」に寄稿した論文が、ちょっとした騒動になっているそうです。

 

ご存知の方も多いと思いますが、これまでの報道から、矢野氏が寄稿した論文について、整理します。

 

◆矢野氏は、与野党の政策論争を「バラマキ合戦」と批判した

◆矢野氏の主張は、財政再建の必要性を訴える内容

◆メディアは、現役の事務次官が、自らの意見を表明するのは異例、と報道

◆矢野氏は、財政について「タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなもの」例えた

◆矢野氏は、寄稿について麻生太郎前財務相に了解を得ている

◆鈴木俊一財務相は記者会見で、「今までの政府方針を否定するものではない」と語った

 

まず、事務方トップの組織人として、当時の上長で麻生前財務大臣に了解を得ている点は、問題ないでしょう。

確かに、財務事務次官という「影響力のある公人」が、月刊誌を通じた論文として「私見を述べる」ことは、これまでに例が少なく「異例」かもしれませんので、賛否はあるでしょう。

しかし、矢野氏の主張は、「これまでの政府方針と真逆の考え」ではないので、「官僚が勝手なことを言っている」という批判は、的外れだと思います。

 

そもそも、与野党の政策論争ですが、政策論争は、国会議員として国会で、所属政党の主張を述べるのは当然です。

また、その与野党の政策論争に対して、政府方針と考え方が同じ論調をベースに

「与野党の主張(バラマキ政策)は、国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話ばかり」

と主張するのも、政府の予算を握っている財務官僚トップとして当然で、問題ないでしょう。

要は、金庫番が、「選挙前で、議員は、国民ウケのいいことばっかり言っているが現実的にない袖は振れないよ」と言っているようなものです。

 

私たちが、ここで、考えないといけないのは、

・財務次官が、緊縮財政と増税を主張するのは、いつの時代も同じではないか

・財務省は、各省庁予算を削り、税収を確保するのがミッションではないか

・現政府方針の「緊縮財政、増税路線」は、今の日本にとって正しい方法論なのか

・金利政策だけでは、デフレは解消せず、物価上昇しないのではないか

・自国通貨発行権のある国で、自国通貨建て国債による借金による破綻はないのではないか

・社会保障か公共投資かではなく、政府が国債を発行して両方やればいいだけではないか

・・・

といったことなのでしょう。

 

月並みですが、私たちは、

「日本最高峰の東大法学部出身者集団の財務官僚が政治家にレクチャーしていること正しい」

「大手メディアが報道していることは大きく間違っていない」

といったように、ぼーっと情報を鵜呑みにしてはいけないのでしょう。

総選挙が始まりますが、「誰が総理になってもたいして日本はよくならない」と諦めず、世界の経済成長から取り残された日本を変えて行くには、どん政策が必要なのか、ひとりひとりが、考えて、投票しないといけないのでしょう。

 

そう考えると、矢野財務省事務次官の「バラマキ政策」を批判する論文は、多くの国民が財政問題をあらためて考えるきっかけになったニュースなのかもしれません。
 

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