組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「請負者への安全確保の指示」について。

いわずもがなですが、日本の労働法令では、

「契約書上は“業務請負契約”としながら、注文者が労働者を指揮命令して就労させること」を禁止しています。

これに違反して「請負契約なのに発注者が直接、業務の指揮命令」をしていると、いわゆる「偽装請負」となり、罰せられます。

要は、偽装請負とは、形式的には業務処理請負としながらも、実態は労働者派遣であることをいいます。

 

そこで、議論になるのは、

「日本において、「請負者」はMD5の箇条1.9における「組織の管理下」にはなり得ない」

という議論です。

 

少し話は逸れますが、IAF MD5の箇条1.9では、

「OH&SMSについて、有効要員数には、組織の管理下又は影響下にあり、組織のOH&SMSパフォーマンスに影響を与え得る、労働又は労働に関わる活動を行う請負者及び下請負者の要員も含まなければならない。」

と規定されています。

 

ここでいう「請負者及び下請負者」とは、原文では、「contractors and subcontractors」となっており、意味としては「contractors」は「一次請負者」、「subcontractor」は「二次下請以降」を指しています。

 

話題を「日本において請負者は組織の管理下になり得ないのか」に戻しますが、結論から言えば、

「労働安全衛生法第29条では、請負者に対して必要な指導や指示を行うことが義務として定められている」

ので、労働安全衛生に関しては「組織の管理下にある」と捉える必要があるでしょう。

 

つまり、労働安全衛生法第29条に基づく指導や指示は、安全確保のために必要なものであり、元請事業者から下請事業者の労働者に対して直接行われたとしても、業務の遂行に関する指示等には該当しないので、労働者派遣法には抵触しないと解釈できるわけです。

 

ただ、品質や環境と安全は、切り離せない部分があるので、業務指示と言えば、仕事内容やその質を向上させるためにするが主目的ですが、当然、そこには「不安全行動はミス・ロスに繋がるので注意しなさい」という意図も含んでいると思います。

 

あと、これも注意が必要だと私は考えますが、労働安全衛生の審査の場合、部外者、お客様、来場者等が従業員や請負者より多い組織、例えば、商業施設やイベント会場においては、「面談者」と「有効要員数」をどこまでを対象にするべきか、認証機関は、しっかり手順を設けておくべきではないかと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ752号より)
 

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