2021年10月1日付けの産経新聞が、
「三菱電機、検査不正で辞任の会長が会見「経営層と現場に断絶」」
という見出しの記事を報じていました。
記事によれば、
◆鉄道車両用機器などの検査不正を受けて、柵山正樹会長が10月1日付で辞任した
◆柵山会長は、経団連副会長も退任した
◆調査委員会は、「従業員が安心して声を上げることができる企業風土の構築」を提言した
◆不正の原因は、『品質に実質的に問題がなければよい』という正当化が行われていた
◆工場単位で「内向きな組織風土」があり、本社と距離があった
◆三菱電機は、漆間啓社長直結の品質改革推進本部を新設したと発表した
◆柵山会長は、「最も大きな問題は経営層と現場の断絶だった」と会見で説明した
とのことです。
経営コラムニストの横山信弘氏は、この三菱電機の検査不正の本質は「心理的安全性」にあると分析しています。
「心理的安全性」とは、「組織の中で自分の考えや抱えている問題を安心して発言できる状態」を指します。
基本的に、組織で働く人は、「経済的安定」や「組織内の立場の安定」を目的に働いています。
つまり、「自分にメリットのないことは、やらない」・・・要は「前例や前任者のそった仕事」をします。
例えば、検査不正についても、「顧客と合意している検査方法でやらないとまずいですよ」と、一介の現場社員が声を上げたところで、
・この方法で検査をやると手間が掛かって、営業から指示された納期に間に合わないんだ
・もう何十年もこの方法で検査をやって、顧客から文句を言われたことはない
・実質的な品質には、影響ないからこの方法でいいんだよ
・・・といったように直属の上司、または、部長、あるいは工場長も「目をつぶってきた」から三菱電機の場合、全組織的な検査不正が発生したのでしょう。
三菱電機に「心理的安全性」があれば、「おかしい」と声を上げられたと思いますが、現実問題として、少なくとも多くの日本企業において、難しいと思います。
三菱電機では、記事にあるように「漆間啓社長直結の品質改革推進本部を新設」したようなので、「現場が匿名で問題点を社長(品質改革推進本部)に伝達する仕組み」がおそらく作られたと思うので、しばらくの間は、社内の牽制機能が働き、問題は発生しないでしょう。
勝手な想像ですが、三菱電機の場合、「顧客の要求品質と検査基準や方法が釣り合っていない」、「規定した検査に必要な工数と約束納期が釣り合っていない」という問題が「現場にしわ寄せ」され、長年に亘って「不適切な検査方法が常態化」していたのではないかと思います。
つまり、「設計部門>検査部門」、「営業部門>検査部門」の力関係があり、それも、声を上げても無駄だから、検査部門内で処理しておこう、という発想に繋がったのではないかと思います。
漆間啓社長の品質改革に期待するとともに、IR情報として品質改革の取り組みが公開されることを注視したいと思います。
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