組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「認証表記に含まれる内容」について。

 

ISOマネジメントシステム認証では、適合組織に対して「認証文書」(登録証、認証書等)が認証機関より発行されます。

この「認証文書」ですが、いわずもがなですが、認証文書には、「登録範囲」が記載されます。

登録範囲には、「製品及びサービス」、「サイト」などがありますが、よく質問を受けるのは「製品及びサービスの表記」です。

一般的には、製造業であれば、「○○の設計及び製造」、サービス業であれば、「○○の企画及び提供」といった表記になります。

 

要は、「認証された組織が、組織内部ではなく、外部の顧客に提供する製品やサービスを表記する」のが基本で、プロセスや活動は表記しないのが原則です。

しかし、「設計や製造という表現もプロセスの一部ではないか、だったら、販売や製品保管、出荷等も認証表記に含めてもよいのではないか」という主張です。

 

ISO/IEC 17021-1:2015では、認証文書について、

「該当する場合、各事業所における活動の種類、製品及びサービスの種類に関する認証の範囲。誤解を招いたり不明瞭にならないように明示する」

という規定があります。

この規定から「プロセスや活動も認証表記に含めて問題ない」という主張だと思います。

 

しかし、そもそも、ISOマネジメントシステム認証は、認証される組織について、市場、顧客を含めた利害関係者に対して、第三者機関が規格の適合性を保証する制度です。

また、組織は、多くの認証規格(QMS、EMSなど)の場合、産業分野で登録が区分されているので、認証された組織が「何の製品、あるいは、何のサービスを提供している組織なのか」を「認証範囲の表記」として表現するべきものなのです。

そのため、「設計」や「製造」という表現によって、「どのような産業の会社か」を表していると考えるべきでしょう。

 

ちなみに、ISO/IEC 17021-1:2015に規定されている

「該当する場合、各事業所における活動の種類、製品及びサービスの種類に関する認証の範囲」

の意味は、該当する場合は、サイト毎(部署毎)の機能や活動を認証文書に記載してもよいという意味で、メインの認証表記に関する規定ではないと考えるべきでしょう。

 

なお、認証範囲についての考え方は、認定機関のJAB(公益財団法人日本適合性認定協会)から、

「マネジメントシステム認証に関する基本的な考え方-認証範囲及びその表記-」

という文書が、2011年に発行されています。

https://www.jab.or.jp/files/items/2202/File/NS5122011V2.pdf

しかし、この文書をじっくり読むと、認証範囲をどのように設定するべきか、という事については記載されていますが、「認証表記はどうあるべきか」ということや「産業毎の認証表記事例」などには、ほとんど触れられていません。

文書の最終改訂が、2011年ですし、その後、ISO45001(労働安全衛生)やISO55001(アセットマネジメント)、航空宇宙や食品分野のセクター規格に認証が活発になっているので、JABには、内容を見直しして欲しいものです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ765号より)
 

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