組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「認証審査における不適合の是正処置」について。

◆組織が実施した是正処置の妥当性は、不適合の影響度合いによる◆

 

ISO9000:2015(品質マネジメントシステム−基本及び用語)では、

《是正処置》

・不適合の原因を除去し、再発を防止するための処置。

注記1: 不適合には,複数の原因がある場合がある

注記2 :予防処置は発生を未然に防止するためにとるのに対し、是正処置は

再発を防止するためにとる

と規定されています。

 

認証審査で、不適合が検出されると組織は、認証機関と決めた期限内に是正処置や是正処置計画を提出しなければなりません。

認証機関は、組織の是正処置回答が適切なのかを評価するのですが、組織に適切に回答してもらうために是正処置様式を工夫しています。

フリーフォーマットで組織に是正処置を要求すると、内容が、不十分になるので、例えば、

「不適合に対する修正処置」

「不適合原因の調査結果」

「是正処置(是正計画)の内容」

といった欄を設けています。

 

しかしそれでも、組織がマネジメントシステムをよく理解していると大丈夫なのですが、たいてい、「是正処置回答が不十分」なケースが多いです。

よくある不十分なケースは、

・原因が“認識不足”ばかりで真因が調査されていない

・不適合による影響の評価がされていない

・修正処置が表層的で、不適合の影響に対する処置がされていない

・不適合原因と再発防止対策が整合していない

・・・

などです。

 

ケースバイケースなので、すべてにおいて当てはまるわけではありませんが、特に問題なのは、「不適合による影響の評価」です。

例えば、「組織のマニュアルに従って設備点検及びメンテナンスが実施されていなかった」という不適合であれば、本来、「設備点検やメンテナンスを実施しなかったことによる影響の評価」をした上で、修正処置をどこまで実施するか、組織は決定する必要があります。

 

わかりやすいのは、「計測器の校正期限が過ぎていた」という不適合です。

このケースであれば、「計測器を速やかに校正し有効期限を更新した」というのは「表層的な修正処置」だということは誰しもわかるでしょう。

組織が実施すべきは、少なくとも

・校正期限が過ぎてその計測器で検査した件数

・校正期限切れ計測器で検査した部品や製品への影響

についてです。

これらを調査し、影響を評価しなければ、適切な修正処置にはなり得ません。

 

私の経験では、認証機関の審査員は、組織からの是正回答について様式の各欄が記入されそれなりに埋まっていれば、スルーしているケースがあると思います。

組織が不適合に対する是正処置に取り組む過程を通じて、マネジメントシステム運用能力も向上するので、認証機関がそこの手を抜くとマネジメントシステムの正しい理解と認証の価値が低下する原因になり得ることを再認識して、組織からの是正処置回答の対応に取り組みたいものですね。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ745号より)

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