異例の長雨が続いた第103回全国高等学校野球選手権。

大会史上もっとも遅い決勝戦が、2021年8月29日に甲子園球場で開催され、智辯和歌山と智辯学園による兄弟校対決を、智辯和歌山が9-2で勝利し、21年ぶり3回目の優勝を果たしました。

 

決勝戦が日曜日だったので、私は、仕事をしながら、最初から最後まで見ていましたが、少々驚いたのは、9回裏の智辯学園の攻撃を0点に抑え、優勝が決まったシーンです。

「優勝シーン」といえば、ナインとベンチにいる控え選手がマウンドに集まり歓喜の輪を作るシーンです。

また、2004年に初優勝した駒大苫小牧が、最初ではないかと思いますが、優勝したチームの選手がマウンド上で輪になって、人差し指を突き上げて、「ナンバーワン」のポーズを取る、近年の高校野球ファンには、お馴染みのポーズもありませんでした。

 

リアルタイムで、優勝シーンをテレビで見ていた私は、

「大会本部からの指示で密を避けているのかな」

「コロナ禍であることを考慮して、派手な歓喜のポーズは自粛したのかな」

などと、思っていました。

 

すると、その後の優勝インタビューやメディアの報道で、

(※以下、インタビューや報道より筆者が編集)

 

「宮坂厚希主将は優勝インタビューで“相手もいますし、礼に始まり礼に終わるというのがありますので、礼が終わってから喜ぼう”という判断のもとで取った行動だった」と話した

 

「礼に始まり、礼に終わる」というのは、普段から中谷仁監督が指導してきたことの1つ。

マウンドに集まることについて、中谷監督と選手間で話をしていた。

 

中谷監督曰く、「時代の流れがあるので、この状況で集まるのはどうなんだと話していたんです。ただ、僕もそうでしたが、甲子園のマウンドで歓喜の輪を作ることに憧れとか夢をもっていたので、選手たちには考えてみるように、とまでしか話していませんでした。本来ならマウンドで喜ぶことに憧れがあった選手もいたと思いますが、そこを我慢した選手たちを尊敬します」

 

宮坂主将曰く、「大会本部からは決まりなどは言われませんでしたが、“集まらない方がいいだろう”とチーム全員が納得したうえでNo.1ポーズをマウンドで取らなかった」

 

・・・ということを知り、「今の高校生アスリートは、大人だなぁ」と思いました。

子どもはもちろん、大人も、「ガマンしなさい」といわれても、感情の高ぶりは自然とあふれ出るのが普通です。

しかし、「スポーツは礼に始まり礼に終わる」、「コロナ禍の開催について賛否があり、大会が開催されたことに感謝する」という考えから、マウンド上で歓喜の輪を作るのを止めたわけです。

 

東京五輪の日本人選手の金メダルシーンでは、柔道男子66キロ級の阿部一二三選手、73キロ級の大野将平選手、100キロ級のウルフ・アロン選手、男子空手の形の喜友名諒選手らが「畳の上」では、カッツポーズや雄叫びを上げるなどの歓喜を表現せず、冷静な表情で感動を呼んでいました。

今回の智辯和歌山の優勝シーンもこれらのシーンと同様に、「ナンバーワンポーズをしなかった背景」を聞くと余計に感動します。

 

「高校生らしく、喜びをマウンド上で爆発させてもいいではないか」という声ももちろんあると思うので、今後の大会の優勝校に、今回の智辯和歌山のような対応を強制するのはよくないですが、個人的には、2022年春の選抜や夏の選手権大会の優勝校がどんなシーンを演出してくれるのか、楽しみです。
 

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