組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「認証審査の公平性に対する脅威」について。

◆審査の公平性に対する脅威にはどのようなものがあるか◆

 

ISOマネジメントシステム認証機関(以下、認証機関と記載します)に要求される認定基準のひとつに「ISO/IEC 17021-1:2015」があります。

この基準に以下に示す要求事項があります。

 

(以下、引用)

5.2.3 認証機関は、他との関係をもつことから生じるいかなる利害抵触をも含む、認証の提供から生じる利害抵触に関連するリスクを現状に即して特定し、分析し、評価し、対応し、監視し、文書化するためのプロセスをもたなければならない。(省略)

(引用、ここまで)

 

つまり、「箇条5.2.3」では、

・認証機関は、利害抵触に関連するリスクを特定し、分析、評価しなさい

・公平性に対する脅威が存在する場合、その脅威を排除、または最小化しなさい

・残留リスクは、文書化しなさい

・特定される全ての潜在的な脅威を網羅しなさい

・トップマネジメントは,残留リスクが容認可能な水準か、レビューしなさい

・リスクアセスメントプロセスには、適切な諮問機能を含めなさい

・諮問機能は、いずれかの利害関係者だけに偏らないように均衡をとりなさい

・認証機関の公平性に対する脅威の発生源として、

所有、統治、マネジメント、要員、共有資源、財務、契約、教育・訓練、マーケティング、

売上手数料の支払、新規依頼者紹介に関わるその他の誘引条件などがあるに基づくもの

がある

・・・

といったことが規定されています。

 

このように、認証機関の公平性に対する脅威の発生源には、多くの要素があるので、今回は「認証審査に密接に関わる要員」のケースを考えてみます。

 

一般的には、この場合、認証機関は、

『ある組織にコンサルティングを実施した審査員は、その組織の審査員として配置しない』

『その組織に所属していた審査員は、審査に配置しない』

というルールが、ほぼ確実に決められていると思います。

 

このケースは、誰しも「公平性に対する脅威があり、排除することはほぼ無理」とわかるでしょう。

 

併せて決めているルールとして、

『コンサルティングを提供した審査員と「上司、部下、同僚関係にある/あった審査員」もその組織審査に配置しない』

と規定している認証機関もあります。

 

このルールも自分に置き換えて想像すれば、「客観的に公平性の担保は難しいな」と理解できると思います。

 

個人的には、その他に「コンサルティングを提供した人」とのつながりとして、

・マネジメントシステムに関する講習会の受講生だった

・コンサルティングを受けた組織のISO事務局だった

・同じ団体(学会、研究会サークル、マネジメント関連資格の団体等)に所属している

(特に、コンサル提供者がその団体で幹部や重鎮である場合)

というケースも、「公平性の脅威」は、結構、高いと思います。

 

また、

・取引関係がある

・金銭等の貸し借りの関係がある

・血縁、姻戚関係がある

・・・

といった関係も、「公平性に対する脅威」として、ケースバイケースですが、見過ごせません。

 

ただ、「上司・部下等」の関係は、職務経歴等で認証機関が自ら監視できますが、それ以外の関係は、基本的に「審査員からの自己申告」主体のチェックしか、現実的にはできないと思います。

 

なお、ある組織に一度コンサルティングを提供した場合は、「永遠にその組織の審査を担当させない」という認証機関もありますが、「コンサルティング提供から2年以上経過したら審査を担当できる」というルールにしているケースもあります。

ただ、「2年」は、最低限の縛りと考えるべきです。

実際は、例えば、10年以上に亘ってコンサルを提供してきた極めてその組織への影響力が高い人を「2年経過したから審査に行かせられます」と認証機関が決めていたら、客観的には「えー?!ちょっと変じゃない?」と普通は感じるでしょうから、認証機関の公平性に対する信頼性低下に繋がると思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ744号より)
 

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