組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「ISO審査回顧録(ポカミスや誤記入)」について。
審査員養成研修コースでは、「審査で検出した問題は事実をありのまま報告する」と教育されます。
基本的には、その通りです。
第三者審査の場合、指摘の報告は、一義的には「受審組織」に向けて起票します。
しかし、第三者審査結果を信頼して利用する人々の代わりに監査しているという観点で捉えれば、「問題点があったことを認識しているのにスルー」すれば、それは、大げさに言えば、そうした人たちへの裏切りになります。
ただ、第三者審査の場合、組織審査を担当した審査員の審査結果を認証機関内部でレビューするプロセスがあります。
レビューする人は、組織に訪問していないので、審査員が報告した文面から状況を想像するしかありません。
うまく表現できませんが、実際には「たいした問題ではない」ことも「文面にすると客観的には結構重要な問題」として映る指摘があります。
このような指摘を「ありのまま報告」すると確実に、認証機関内部のレビュー(審査判定委員会含む)で引っかかります。
そのため、現実的には、受審組織に審査側の指摘意図が伝わっていれば、指摘表現をわざと少し曖昧にすることがあるのです。
この「少し曖昧な表現に脚色した指摘」ですが、受審組織の応対者は、すぐに理解できるのですが、少し厄介なのは、「組織の審査で応対しなかった人への説明」です。
・指摘内容が具体的でない
・指摘の意味が曖昧でよくわからない
・・・
こうした意見を終了会議で受けることが多いのですが、本音は「具体的に表現すると、事実はたいした問題ではないのに、客観的には大問題になるので正確かつ明確に書けない」のです。
この審査側の本音に「ピンときた」方は、口頭で少し説明すると「了解しました」となるのですが、原理主義の人は「指摘とするならもっと明確に書いてください」とおっしゃる。
しかし、明確にすると、誤解を呼び、改善の機会が不適合とせざるを得なくなり、組織の事務局が無駄な作業をすることになるのです。
あと、経験の浅い審査員が犯すミスとして「ポカミスや記録の誤記入」に対する指摘です。
確かに、厳密には、運用手順や記録作成上の「ミス」ではあるのですが、そのミスが、その場で「誰もがミスとわかる」、「ミスにより誤った運用をすることはない」ものであれば、要は、マネジメントシステムや製品・サービスに対する影響が殆どなければ「指摘をする必要はない」のです。
口頭で、「記入方法について関係者に注意を運がした方が良い」等と伝えれば良いレベルです。
そもそも、認証基準に「誤記入」に対して、直接的に指摘する項番(箇条)はありません。
こうした話は、審査側と受審組織側の双方が場数を踏めば、「あるあるの話」と合点がいくのです。しかし、机上の理屈でものごとを捉えようとする人には、なかなか理解できない話かもしれません。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ727号より)
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