2021年8月2日付けの毎日新聞が、

「三菱電機 新たに業務用空調の検査で不備 装置故障気付かず」

という見出し記事を報じていました。

記事によれば、

◆検査不備があったのは、三菱電機冷熱システム製作所(和歌山市)

◆2014年6月~2021年7月までに製造、出荷した業務用空調などの検査に不備があった

◆該当する製品は4万338台で、2430台は法令で検査が義務付けられており再検査する

◆「耐電圧試験」の検査装置の一部が断線しており正常なデータが得られていなかった

◆出荷時は、最終的な合否しかチェックしていなかったため、故障に気付かなかった

◆不備は、578種類で。27種(2430台)は電気用品安全法で耐電圧試験が求められている

ということだそうです。

 

ちなみに、耐電圧試験は、出荷前の最終工程で、高い電圧をかけても内部の機器が壊れないか検査する試験です。

記事の情報からは、詳細が読み取れない部分がありますが、簡単に言えば、おそらく、

「検査装置が故障しており、耐電圧試験のデータが正常ではなかったが、耐電圧試験結果が合否基準内だったため、検査装置の不備に気づかなかった」

ということなのでしょう。

 

それにしても、不思議なのは、7年間にわたり、検査装置の不具合に気づかなかったことです。

検査不備製品のうち、電気用品安全法の対象製品は、法令上、再検査が必要ですが、三菱電機が説明するとおり、検査不備があった業務用エアコンや除湿機の安全性には、おそらく、実質的な問題がないでしょう。

しかし、「少なくとも7年もの間、検査装置の不具合に気づかなかった」ことの原因追及は、徹底するべきでしょう。

たぶん、検査装置のうち、測定機器の校正は定期的に実施していたと思われますが、検査装置自体の点検方法が確立していなかったのではないかと思います。

なお、三菱電機冷熱システム製作所は、国際マネジメントシステム規格のISO9001をJQAで取得しています。JQAが認証に関して、どのような判断をするのか、注目です。

 

ご存知のように、三菱電機は、「長崎製作所」の検査不正問題がありました。

この問題を受け、全社的な調査を実施し、過去15年分のデータを調べていたところ、今回の冷熱システム製作所の問題が発覚したそうです。

想像ですが、長崎製作所の問題がなければ、冷熱システム製作所の検査不備は、今でも気づかれなかったでしょうし、仮に、誰かが気づいても、社内的にもみ消されていたでしょう。

 

そういう意味では、三菱電機内に、「問題が見つかったら、隠さずに公表する」という状況が醸成されつつあると捉えていいのかもしれません。

 

長崎製作所の検査不正により、三菱電機は、全社的な「検査不備撲滅キャンペーン」が現在、行われている最中だと思いますが、これが一過性に行事にならず、企業風土として根付くことを期待したいです。
 

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