組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「製品毎の適用不可能の検証」について。

◆登録範囲の一部の製品の適用不可能の検証だけでは不十分◆

 

マネジメントシステム認証機関に対する要求として、JIS Q 17021-1:2015があります。

この「9.6.3再認証」では、以下の要求があります。

 

(以下、規格から引用) 

9.6.3 再認証

9.6.3.1.1 再認証審査の目的は,マネジメントシステム全体としての継続的な適合性及び有効性,並びに認証範囲に対するマネジメントシステムの継続的な関連性及び適用可能性を確認することである。(以下省略)

(引用、ここまで)

 

つまり、認証機関(ISO審査登録機関)が実施する再認証審査では、認証範囲に対する組織のマネジメントシステムの適用可能性を確認しなさい、ということです。

代表的な例を挙げれば、建設業の組織の認証範囲が、

『土木構造物の施工』

だった場合、「土木構造物の設計責任がないため、設計・開発の要求事項は適用不可能(適用除外)」としていることになります。

この場合、再認証審査を担当する審査員は、この組織の認証範囲において、設計責任がないことを検証し、検証結果を簡潔に審査報告書に記載する必要があります。

 

ポイントは、例えば、同じ「土木工事」でも、組織の認証範囲が、

・造園の施工

・駐車場の施工

・電気設備の設計・施工

となっていたようなケースです。

 

この場合、審査員は、「電気設備に関しては、設計責任が生じているから、この組織のマネジメントシステムに適用不可能な箇条(要求事項)はない」と評価するでしょう。

しかし、造園や駐車場に関しては、設計責任が必ず生じるのか否か、また生じない場合は、それが正当な理由なのか、といったことを検証して再認証審査報告書に記載する必要があるのです。

 

正直なところ、程度問題はありますが、少なくとも認証範囲の表記となっている「製品毎」の単位で、設計責任の有無と、「無し」の場合の正当性評価の記述は、しっかり実施されているケースの方が少ないと思います。

しかし、マネジメントシステム認証の信頼性向上、及び、認証した組織が社会的な問題を発生させたときに、認証機関の審査ではどこまで検証していたのかということは問われるので、しっかりチェックして報告書に記載しておくことが必要なのです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ741号より)
 

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