2021年7月12日付けの「弁護士ドットコムニュース」が、
「道新記者逮捕、新聞労連が声明 「現場に責任押し付け」「逮捕は行き過ぎ」」
という見出しの記事を報じていました。
「事件」自体は、2021年6月22日のできごとです。
全国ニュースで報じられたので、多くの人の記憶にあると思いますが、今回の報道は、7月7日に北海道新聞が社内調査結果を公表しており、それに新聞労連が見解を述べたことに対するものです。
記事によれば、(※筆者が要約)
◆新聞労連は、旭川医科大の取材中に現行犯逮捕された事件について声明を発表した
◆現行犯逮捕は、道新記者が学長選考会議の建物内に無断で侵入した建造物侵入容疑
◆北海道新聞の報告では、誰が記者に指示を出したか、はっきりしないとしている
◆新聞労連は、道新の社内調査報告について、明確な表現を避け不十分であると疑問を呈した
◆新聞労連は、記者が公的機関に立ち入れなければ、取材の自由は形骸化すると主張した
・・・ということのようです。
私は、法律解釈の専門家ではないので、あくまでも個人的見解ですが、
・北海新聞の社内調査は不十分という新聞労連の主張には、賛成
・普通に考えて、22歳の新人記者が、自分の判断のみで単独取材し用としたとは思えない
・現場に責任を押し付ける道新の姿勢は、責任逃れ
・現場に責任を押しつけると、メディアの独自取材が減り、記者クラブ情報ばかりになる
・公的機関への施設共用部分(階段、廊下など)に「施設管理権」を適用するのは疑問
・詳細の取材状況は不明だが「取材・報道の自由」をメディアが過度に主張するのはよくない
と考えます。
文字情報だけで、記者が、「現行犯逮捕」された現場状況がわかりません。
(報道では、スマホで会議室前で、無断録音をし、見つけた職員に対して曖昧な回答をしていたという)
しかし、「一般住宅に許可なく侵入」するケースと違い、旭川医科大は、大学という公機関であり、さらに、国立大学法人です。
大学側は、「取材・撮影お断り」、「部外者立ち入り禁止」等をメディアにファックスで通告していたようですが、「会議中の会議室に身分を偽って侵入する」といった状況でない限り、大学側が「施設管理権」を振りかざしまくり、「逮捕」するのは、公機関として、どうなんだろう、と思います。
ただ、今回のケースにおいては、北海道新聞側には、
・新人記者だから、みつかっても、許されるだろう
・ぱっと見は、大学生に見えるから、大学内に立ち入っても怪しまれないだろう
・運良く、スクープがつかめればラッキー
ぐらいの安易な発想で、新人記者を取材に向かわせたのでしょう。
したがって、この記事の感想として、北海道新聞はもちろん、新聞労連は、
・メディアとして「国民の知る権利」、「取材・報道の自由」を盾におごりがあった
・新人記者だから取材対象者にバレても「ごめんなさい」で済むと甘く考えていた
といえると思います。
それにしても、22歳の記者の組織内でのキャリアに傷が付かないよう、現場を組織は守って欲しいと思います。
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