組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「各審査員に必要とされる力量」について。

 

ご存知のように、ISOマネジメントシステム認証制度では、各国の認定機関が認定した認証機関の相互承認を世界的規模で運用するために、IAF(国際認定フォーラム)で作成された「IAF適用文書」があります。

つまり、認定機関に関する要求事項としては、ISO/IEC17011、認証機関に対する要求事項としては、ISO/IEC17021シリーズがありますが、それに加えて、IAF適合文書(IAF MDシリーズ)があるのです。

 

今回のテーマである「各審査員に必要とされる力量」ですが、これは、よく議論になるものです。

関連する要求事項としては、

 

・IAF MD1:2018 箇条7.2.3:

「いずれの時点においても、複数のメンバーからなる複数の審査チームを使用する場合、審査の各部分及び各サイトに要求される専門的力量を特定し、かつ、審査の各部分に対して適切なチームメンバーを割り当てることは、チームリーダーと共に認証機関の責任でなければならない。」

 

・ISO/IEC17021-1 9.2.2.1.1:

「審査チームは,その審査に対して9.1.2.3で設定した、認証機関が特定した力量の全体をもたなければならない。」

 

の2カ所です。

 

私を始め、認証審査経験のある人なら、IAF MD1:2018 箇条7.2.3の要求事項の意図は、ISO/IEC17021-1 9.2.2.1.1により、審査チームで力量の全体を持つことが要求されるが、チームリーダーと認証機関は、各サイトに要求される専門的力量に対しより適切な審査員を配置するように考慮すればよく、当該組織審査に必要な専門的力量の全てを各審査員が有している必要はない、と考えるでしょう。

 

1990年代の認証審査では、「設計開発」、「製造及びサービスの管理」に関するプロセスをその組織に該当する産業分野の力量を有する人が審査を担当すれば、例えば、総務部門や経理部門は、必ずしも該当産業分野の力量を有する審査員を割り当てなくてもよい、という「運用」で多くの認証機関は審査を実施していたはずですが、その考えで、基本的に問題はないと考えられます。

 

少し話題はそれますが、マネジメントシステム審査の場合、「製品やサービスの技術的な優劣」を審査する審査ではないので、「専門性」といっても「その産業の業務プロセスや技術的用語が理解できる人」という意味です。

したがって、あまりにも専門性を重視しすぎるチーム編成をすると、技術端出身の審査チーム編成となり、経営管理的側面の評価が弱いチーム編成になる恐れがあり、適切なマネジメントシステム審査が実施できているかと言えば、微妙です。

あくまでも、「チーム全体での力量担保」と「それぞれ担当する審査プロセスに必要な力量」について認証機関が明確に手順書としておくことがポイントです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ738号より)
 

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