組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「労働安全衛生MSの審査におけるインタビュー対象者」について。
ご存知のように、ISOマネジメントシステム認証制度では、各国の認定機関が認定した認証機関の相互承認を世界的規模で運用するために、IAF(国際認定フォーラム)で作成された「IAF適用文書」があります。
つまり、認定機関に関する要求事項としては、ISO/IEC17011、認証機関に対する要求事項としては、ISO/IEC17021シリーズがありますが、それに加えて、IAF適合文書(IAF MDシリーズ)があるのです。
今回のテーマの「労働安全衛生マネジメントシステム」に関しては、IAF MD 22:2018(労働安全衛生マネジメントシステム認証のためのISO/IEC 17021-1適用に関する IAF 基準文書)があります。
この中で、よく話題になるのが、
“G.9.4.4.2 iv)「審査チームは次の要員と面談しなければならない」の要求”
です。
ここでは、認証機関が組織に対して面談(インタビュー)する対象者を
「管理職、及び常勤及び臨時の従業員」
としています。
議論になるのは、
#1常勤及び臨時の従業員の両者
のことを指すのか、
#2常勤又は臨時の従業員のいずれか。
(つまり、「常勤及び臨時の従業員」は単に「従業員」ということと同じである)
のことを指すのか、
という議論です。
一般的には、ISO 45001 A7.3の「認識」に
「働く人(特に一時的に働く人)に加え,請負者,来訪者及びその他のあらゆる者は,ばく露される労働安全衛生リスクを認識することが望ましい。」
という要求があるので、インタビュー対象者は、上記「#1」(常勤及び臨時の従業員)と考えるのが、IAF MD:22(G.9.4.4.2 iv))が要求している意図と考えるのがよいでしょう。
しかし、原文(英語)より、上記「#2」である、と主張する人が一部にいるのです。
(※英文法的には、上記「#1」だと私は思いますが)
ちなみに、経済産業省の定義では、
・「常時従業者」:
有給役員、常用雇用者(正社員・正職員、パート・アルバイト、嘱託、契約社員等の呼称にかかわらず期間を定めずに、又は1か月以上の期間を定めて雇用している者)をいう
・「臨時雇用者」:
1か月未満の期間を定めて雇用している者及び日々雇い入れている者をいう
とされています。
つまり、人的資源の調整弁として「日雇い」されている労働者以外は、「常時従業員」となります。
認証審査の業務経験者として考えると、殆どの組織審査において、日本の場合は「常時従業員」に相当する人が殆どで、臨時雇用者はいないように思います。
ただ、認証審査の場合は、まずは、「臨時雇用者」に相当する人がいるのかいないのか、組織に確認し、審査当日に臨時雇用者がいれば、インタビューすることがIAF MD22の要求事項上は必須である、と考えるのが無難でしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ738号より)
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