2021年6月21日付けの北海道新聞(電子版)が、

「ワクチン1002回分廃棄 釧路市 保管冷蔵庫の温度上昇」

という見出し記事を報じていました。

 

記事によれば、(※筆者が一部編集)

◆釧路市は、6月20日から大規模接種を開始した

◆会場で使用予定だった米ファイザー製のワクチン1002回分を廃棄した

◆廃棄理由は、適切な温度で保管されなかったため

◆20日は、代替のワクチンを使用し、今後の接種スケジュールにも影響はない

そうです。

 

釧路市の説明だと、ワクチンは、釧路市役所内の超低温冷凍庫に保管されていて、市職員が19日の夕方に、大規模接種会場の釧路市観光国際交流センターに配送し、交流センターの冷蔵庫内の温度が3度に設定されていることを確認し、保管したそうです。

ところが、20日朝に、釧路市の職員が冷蔵庫内の温度を確認したところ、ワクチンの保管上限8℃を超える12℃となっていたそうです。

なお、釧路市の発表では、冷蔵庫の温度上昇原因は不明だそうです。

 

私は、この大規模接種会場の釧路市観光国際交流センター自体は、利用したことがありませんが、釧路出張の際は、建物の前をジョギングしたことが何度もあるので、立地環境はよくわかります。

国際交流センターは、同時通訳が必要な国際会議も開催できる施設ですが、建物の中に、食堂や飲食施設はなかったと思うので、ワクチンを一晩保管していた「国際交流センター内の冷蔵庫」は、業務用冷蔵庫ではなく、もしかしたら、保管数量は1002回分ですし、家庭用冷蔵庫レベルの冷蔵庫かもしれません。

 

国際交流センターの冷蔵庫自体は、故障していないようですので、ワクチン保管の上限を超えていた時間が何分あったのか不明ですが、仮に、この冷蔵庫が小規模のものであれば、冷蔵庫内に保管しているものの出し入れで数十秒、開閉するだけで、12℃には、すぐに達するでしょう。

食品製造業の冷蔵倉庫であれば、自記温度計を使用していることが多いので、8℃を超えていた時間が検証できますが、おそらく、庫内温度計が付いているだけの冷蔵設備だとしたら、検証できないのでしょう。

 

釧路市は、今後の対応として、

・代替の冷蔵庫を導入する

・代替冷蔵庫が導入までの間は毎日、釧路市役所内の冷凍庫から会場に直接ワクチンを運ぶ

そうです。

 

代替の冷蔵庫(おそらくレンタルかリースでしょう)が、小規模なものであれば、大規模接種期間中は、「ワクチン専用冷蔵庫」として釧路市の冷凍庫からこの冷蔵庫に搬入したら、冷蔵庫の開閉回数を制限しなければ、また、同じ問題は発生するでしょう。

 

釧路市の接種手順は、

・ワクチンを釧路市役所内の冷凍庫で保管

・国際交流センターの冷蔵庫で保管(解凍)

・自然解凍したワクチンを希釈し、注射器にセット

・会場で接種の実施

だと思いますが、

・ワクチンの冷蔵庫での一時保管と解凍手順

・ワクチンの希釈と注射器へのセッティング

・接種会場への持ち運び手順

を再確認し、温度管理上のリスクを排除しておくことが必要です。

 

たぶん、厚生労働省から、「大規模接種会場における接種手順」のようなものがあり、釧路市はそれに則っているのだと思いますが、

「ワクチンを希釈し注射器にセッティングする部屋の温度管理」

「接種会場へセッティングした注射針を保管できる時間管理」

あたりを関係者間で、再確認した方がよいと思います。

 

それにしても、1002回分は、もったいなかったですね。
 

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